研究課題/領域番号 |
25390022
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田中 睦生 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (70344108)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表面修飾材料 / 非特異吸着抑制 / 抗体固定化 / バイオセンサー |
研究実績の概要 |
導波モードセンサーでは、非標識法でレプチンを数十ng/mLまで検出できることを前年度見いだしている。より高感度検出を目指して、プロテインA、プロテインG、二次抗体を用いた増感法について検討を行った。前年度に確立した抗体を固定化し、非特異吸着を抑制できる表面に、プロテインAおよびGを固定化してさらに抗体を導入固定化したセンシング界面を構築して検討したところ、プロテインA、G共にレプチン検出限界は100ng/mLであり、増感効果は見られなかった。この結果は、プロテインAおよびGは抗体に対する結合機能に方向性があり、プロテインAおよびGそのものを抗体結合に適した方向で固定化しなければ増感効果は得られないことを示唆している。次に二次抗体を用いた増感を検討したところ、感度が10倍程度増強し、数ng/mLのレプチンが検出可能であることを見いだした。 導波モードセンサーの大きな特徴は、着色した物質も検出可能であり、高感度が期待できることである。そこで市販の直径15nmの金粒子に非特異吸着や凝集を抑制する表面修飾を施し、導波モードセンサーの応答を検討したところ、表面修飾を施した金粒子には応答しないという予想外の事実が判明した。従って導波モードセンサーの着色物質検出機能を利用した感度増強には表面修飾材料を用いることができず、当初の想定とはまったく異なるアプローチ法が必要であることが明らかになった。その一方で、ここで開発した金表面を修飾できる材料を用いて自己集合膜の動力学をインピーダンスアナライザーを用いて検討した結果、ポリエチレングリコールからなる自己集合膜は非常に流動性が高く、QCMセンサーを用いた場合には、基板から約10nmの距離までしか正確に質量を反映したデータは得られないことを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高感度検出を目指して最終段階に導波モードセンサーの着色物質検出機能を検討する予定であったが、非特 異吸着や凝集を抑制する表面修飾を施すことによって導波モードセンサーが応答しなくなるという想定外の 事実が判明し、結果的に計画書に記載した事項の検討が終了してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
様々な表面修飾材料が開発されているが、これらの材料を同一の条件下で比較評価した事例は少ない。そこ で金粒子を修飾するために合成した表面修飾材料を用いて、非特異吸着の抑制機能、金粒子の凝集抑制機 能、表面濡れ性を比較検討し、表面修飾材料の体系化を検討予定である。
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