タンパク質の非特異吸着を抑制するメトキシオリゴエチレングリコールを導入したトリエトキシシランと抗体などのタンパク質を化学結合固定化するスクシンイミドエステルを導入したトリエトキシシランからなる混合表面修飾を導波モードセンサーのセンシングチップに施し、抗レプチン抗体を固定化してその抗原抗体反応を検討した。表面修飾材料の修飾条件や鎖長による組み合わせを最適化したところ、PBS中の数十ng/mLのレプチンを検出できることが明らかになった。さらに血清試料を用いて測定したところ、血清中でも100ng/mLの濃度のレプチンが検出できることを見いだした。以上の結果から、非特異吸着を抑制する表面修飾材料と抗体を固定化する表面修飾材料からなる混合表面修飾法は、血清に由来するタンパク質の非特異吸着を効果的に抑制し、かつ表面に抗体を化学結合固定化して抗原抗体反応を検出できるセンシング界面構築手段として有効であることを明らかにできた。さらに二次抗体を用いた増感法を検討したところ、数ng/mLのレプチンでも検出できることを見いだし、約十倍の感度増強が可能であることを見いだした。その一方で、混合修飾表面にプロテインAやGを固定化し、配向性を制御して抗体を導入したセンシング界面を構築してレプチンの検出を検討したところ検出感度は数十ng/mLであり、増感効果は認められなかった。金粒子を用いた増感法では、金粒子に非特異吸着を抑制する単分子膜の表面修飾を施すことによって導波モードセンサーに応答しなくなるという現象が現れ、この増感法は適用できないことが明らかになった。
|