研究課題/領域番号 |
25390034
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉田 岳人 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20370033)
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研究分担者 |
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 教授 (30203582)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | パルスレーザーアブレーション法 / 気相成長 / 非熱平衡 / ナノ結晶 / 複合ナノ構造 / 自己組織化 / 光触媒 / 電荷分離 |
研究実績の概要 |
初年度(H25年度)に,主触媒であるTiO2ナノ結晶の2次凝集構造を反応性雰囲気ガスの圧力を調整するこで,カリフラワー構造とウッブ構造の自己組織化発現を制御できうることを実証した上,光吸収による光学密度評価から,ウッブ構造はカリフラワー構造より高いポロシティを有していることが判明した.本年度(H26年度)はこれら2種の凝集構造について,堆積膜厚により規格化された紫外光励起の光触媒活性を評価し,ウッブ構造がカリフラワー構造の3-4倍の値を発揮することを確認した.これはTiO2ナノ結晶2次凝集体の構造がカリフラワー構造からウッブ構造に変化したことで,実効的比表面積が増加したものと推察される.またウッブ構造の自己組織化発現の機構に対して,粗いモデルを考案した. 一方,薄膜状のTiO2ナノ結晶堆積膜表面に金(Au)ナノ粒子を担持することにより,可視光励起(490-500nm)においても,メチレンブルー(MB)溶液の分解を確認した.これは担持Auナノ粒子が励起可視光を局在表面プラズモン共鳴により吸収しすることで,主触媒TiO2ナノ結晶中に電子-正孔対を効果的に生成できたものと考えられる(所謂プラズモニック光触媒動作). これまでの2ヵ年の成果により,1)TiO2ナノ結晶の2次凝集構造の制御による実効的比表面積の増大によって,紫外光励起の光触媒活性を向上できること,2)薄膜状TiO2ナノ結晶にAuナノ粒子を担持した構造で,プラズモニック動作による可視光励起での光触媒活性,を確認することができたといえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主触媒であるTiO2ナノ結晶の2次凝集構造を反応性雰囲気ガスの圧力を調整するこで,カリフラワー構造とウッブ構造の自己組織化発現を制御できうることを実証した上(H25年度),各構造の堆積膜厚により規格化された紫外光励起の光触媒活性は,ウッブ構造がカリフラワー構造の3-4倍の値を発揮することが判明した.これはTiO2ナノ結晶2次凝集体の構造がカリフラワー構造からウッブ構造に変化したことで,実効的比表面積が増加したものと推察される. 一方,薄膜状のTiO2ナノ結晶堆積膜表面に金(Au)ナノ粒子を担持することにより,可視光励起(490-500nm)においても,MB溶液の分解により光触媒活性を確認した.これは担持Auナノ粒子が励起可視光を局在表面プラズモン共鳴により吸収しすることで,主触媒TiO2ナノ結晶中に電子-正孔対を効果的に生成できたものと考えられる(所謂プラズモニック光触媒動作).
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2ヵ年の成果により,1)TiO2ナノ結晶の2次凝集構造の制御による実行的比表面積の増大により,紫外励起の光触媒活性を向上できること,2)薄膜状TiO2ナノ結晶にAuナノ粒子を担持した構造で,プラズモニック動作による可視光励起光触媒活性を確認している. 本年度は,反応性雰囲気ガス中で酸化物ナノ結晶の2次凝集構造としてウッブ構造が自己整合的に発現するメカニズムを考察しつつ,この高比表面積2次凝集構造にAuナノ粒子を担持した複合ナノ構造を創製するプロセスを構築し,可視光励起での高活性化を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度後半は,反応性パルスレーザーアブレーション法による主触媒TiO2ナノ結晶試料の作製実験を頻繁に行う必要が増したため,母材TiO2ターゲットの表面再生加工処理を年度内実施することができなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
主触媒TiO2の母材となる,高純度TiO2ターゲットの表面再加工処理費用として,H27年度早々に使用する予定である.
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