研究課題
本研究ではマイクロメータサイズからナノメーターサイズの超伝導位相干渉素子(SQUID)に集束イオンビーム加工した微小超伝導体を直接載せることで超伝導の磁気的な性質、特にカイラル超伝導体として知られるSr2RuO4に特徴的に現れると予測されたカイラルエッジ電流等の検証を行うことを目的とした。当初はマイクロメータサイズのアルミSQUID1個に微小なSr2RuO4を載せることで計測を行ったが、カイラルエッジ電流が誘起する磁化は観測にかからず、バルクサイズの試料で行われた先行研究と一致する結果が得られたが、本研究の微小試料では、一個一個の量子磁束の侵入が観測できたため、量子磁束の侵入とカイラル超伝導つまりカイラルエッジ電流との関係という点から研究を進めた。そのために臨界温度がSr2RuO4の超伝導転移温度よりも十分高いNbを用いたSQUID、アルミのSQUIDを配列状に並べて空間分解能を上げる方法、集束イオンビーム加工によるタングステン超伝導体を用いてSQUIDの作製、Sr2RuO4単体の中心に集束イオンビーム加工で穴をあけた試料、Sr2RuO4単体でなSr2RuO4-Ru共晶のRu部分が一個だけ入った微小結晶をSQUIDに直接搭載、カイラル超伝導体に特徴的な半整数量子渦の検証など、多方面からの研究を進めた。量子磁束侵入にたいして二種類の特徴的な現象が観測されており、カイラル超伝導に特徴的かどうかの検証を進めている。また微小超伝導体に侵入した磁場および磁束量子の状態を理論的に解析するための手法として、時間依存Ginzburg-Landau(TDGL)方程式を解くプログラムを作成し、微小超伝導体の磁場中での帯磁率の解析を行った。磁束の侵入は形状に敏感に応答することを明らかにし、複数の磁束量子が同時に侵入する条件、またジョセフソン接合周辺の磁場応答などを解析した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件)
Journal of Low Temperature Physics
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Scientific Reports
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