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2013 年度 実施状況報告書

新規櫛型電極による非標識バイオセンサの高感度化

研究課題

研究課題/領域番号 25390050
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京海洋大学

研究代表者

大貫 等  東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (60223898)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード電気化学インピーダンス法 / バイオセンサ / アフィニティ反応 / くし形電極
研究概要

本年度では (1) 櫛形電極のデザイン、(2) 分子固定化方法、(3) 測定条件、における各種パラメータを変化させ、EISバイオセンサ作製の最適条件を探った。これらの試料作製上の基礎的なパラメータ決定は、高感度センサ開発の出発点となるものである。
(1) 異なるギャップ幅 (20 μm, 50 μm) を持つ二種類の櫛形電極をフォトリソグラフィと真空蒸着を用いて作製し、EISバイオセンサとしての特性を調べた。その結果、センサ特性はギャップ幅にあまり大きく依存せず、むしろ狭いギャップ幅での基板作製時の歩留まりの低さが実験を推進する上では大きな問題であることが分かった。
(2) COOH終端SAMをEDC/NHSで活性化し、分子認識タンパク分子をアミド結合させる反応において、結合反応効率がbuffer条件および濃度に大きく依存することが分かった。最適な条件は以下の通りである。EDC (2mM) /NHS (5mM) をMES buffer (pH3.5) に溶解した溶液を作製する。この溶液中にSAM試料浸漬し、COOH末端を活性化する。次に、分子認識タンパク分子の等電点より1-2低いpHに調整したリン酸bufferに溶かした分子認識タンパク分子溶液中に試料を6時間浸漬する。
(3) EIS測定条件として測定溶液のpHが非常に重要であることが明らかになった。これは、通常使用されるレドックスプローブ [Fe(CN)3]3-/4- が大きな負電荷を帯びているため、アフィニティ反応によって吸着するターゲット分子と静電的な相互作用を引き起こしやすいからである。センシング特性を最大化するには、ターゲット分子の等電点より高いpHで測定を行うことで静電的な相互作用を増大させ、EISによる抵抗変化を拡大させることができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の想定に比べ、センサの最適化に非常に多くの時間が必要であった。これは、EISバイオセンサ研究全体が、金属ナノ粒子やグラフェンなどの新規材料を取り入れて高感度化を目指す方向に進んでおり、基礎的な界面現象のEIS測定への影響が詳しく研究されてこなかったため、参考とする研究報告が少ないことによる。特に静電的相互作用がEISスペクトルに与える影響に関する研究は、ほとんど報告がないと思われる。電気二重層形成などの界面現象をシミュレーションによる電場分布解析を用いて調べるには、これらの基礎的な知見が必要であるため、今年度の成果は非常に重要であると考える。

今後の研究の推進方策

シミュレーションにおる電場分布解析とEISバイオセンサの開発を行っていく。当初EISバイオセンサはヒトIgEをターゲットとするセンサを開発する予定であったが、比較する先行研究の多さ・試薬および抗体の入手の容易さ・経費、の観点から、同じヒトイムノグロブリンであるヒトIgGまたはIgAをターゲットとするセンサに切り替える予定である。

次年度の研究費の使用計画

当初の想定に比べ、センサの最適化に非常に多くの時間が必要であった。特に静電的相互作用がEISスペクトルに与える影響に関する報告がほとんど無く、実験手法の開発と結果の解釈に時間的な遅れが出た。
シミュレーションによる電場分布解析とEISバイオセンサの開発を行っていく。昨年度に予定されていたシミュレーション用ソフトウエアの購入・清浄な基板表面を手軽に得るためのUV照射装置の購入を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Electrostatic Effects in Electrochemical Impedance Spectroscopy for Biosensing Application2013

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi OHNUKI, Takuya YOKOYAMA, Shigeki MUKOYAMA, Hideaki ENDO, Daijyu TSUYA, and Mitsuru IZUMI
    • 学会等名
      第23回日本MRSシンポジウム
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131209-20131211
  • [学会発表] Influence of Electrostatic Interaction on Electrochemical Impedance Spectrum of Biotin/Avidin System2013

    • 著者名/発表者名
      Takuya Yokoyama, Hitoshi Ohnuki, Shigeki Mukoyama, Hideaki Endo, Daijyu Tsuya, Mitsuru Izumi
    • 学会等名
      XVII euro ANALYSIS
    • 発表場所
      Warsaw, Poland
    • 年月日
      20130825-20130829
  • [学会発表] 電気化学インピーダンス法における静電相互作用の効果2013

    • 著者名/発表者名
      大貫 等,横山拓也,向山茂樹,遠藤英明,津谷大樹,和泉 充
    • 学会等名
      電気学会 誘電・絶縁材料研究会/電子情報通信学会 有機エレクトロニクス研究会
    • 発表場所
      佐渡
    • 年月日
      20130704-20130705

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公開日: 2015-05-28  

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