研究実績の概要 |
平成27年度は、酸化物超伝導体薄膜の電流輸送特製の高特性化を目指して、フッ素フリー有機金属塗布法(FF-MOD法)を用いて、引き続き希土類元素添加効果、26年度に得られた、希土類元素としてGdにHoを添加することに得られた特性向上に関する結果を基に、(Gd,Ho)BCOをベースに新たに希土類元素を追加した3元希土類混晶化効果、さらには厚膜化のために液相を用いた新規FF-MODプロセスについて検討を行った。希土類元素としてLaを3mol%添加した膜は、La添加前の膜と比べて約2.5倍のXRDピーク強度を示しGdBCO超伝導相の結晶化の促進に効果があることがわかった。また、薄膜組織の充填率の向上にも効果が見られた。Jc-B特性については、臨界電流密度が2MA/cm2以上となり、添加前と比べて2倍近く特性が向上した。また、(Gd,Ho,RE)3元混晶化膜としてRE=Sm とした(Gd,Ho,Sm)BCO では、臨界電流密度が(Gd,Ho)BCO と比較して自己磁場 JC および磁場中特性の改善がみられた。さらに、超伝導体膜の厚膜化を目指した新規プロセスとして、液相成長プロセスをMODプロセスと組み合わせた新規プロセスを検討し、予備的な結果ではあるが、臨界電流密度を維持したまま2倍以上の厚膜化に成功した。
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