研究課題
本研究は、近接場顕微鏡技術をはじめとする光学顕微分光技術とフェムト秒時間分解分光技術を組み合わせて、高い空間分解能を実現する過渡吸収イメージング分光装置の開発と、開発した装置の有機薄膜太陽電池等への応用を主な目的とする。本年度は、昨年度から引き続いて、励起光と検出光を独立に位置制御し、励起子やキャリアといった光励起種の時空間ダイナミクスを、高感度・高空間分解能・広時間領域で時間分解して追跡可能なフェムト秒過渡吸収イメージング分光装置の構築を目指して、その要素技術、システムの高度化、並びに実材料への応用を進めた。検出感度については、既存装置の10倍以上の高感度化を達成しているが、この高感度性を活用して、ドナー・アクセプタ分子結合型ポリマーを構成成分とする有機薄膜太陽電池の光電変換過程の解析への適用を行った。その結果、従来装置では困難であった微弱光照射下での有機薄膜太陽電池のフェムト秒過渡吸収計測を実現し、励起子寿命と拡散定数の定量評価、及び電荷分離過程と太陽電池性能の相関の明確化に成功した。本成果について、現在論文投稿準備である。また、空間分解測定を行うために導入している検出機側の対物レンズのピエゾ可動ステージ制御と従来の過渡吸収信号取得システムと統合した測定ソフトウェアについて、試運転を実施したが、一部不具合が見られたことから、原因究明を行って、書き換え等を行い、不具合の改善を行った。また、実験室温度変動に伴う光源レーザーの不良がみられたため、その対策を実施した。来年度以降、安定した環境の下、特に空間分解能の向上とこれを踏まえた実材料測定への適用を主眼として、研究を進めていく予定である。
3: やや遅れている
測定ソフトウェアについて、試運転を実施したが、一部不具合が見られたことから、原因究明を行って、書き換え等を行い、不具合の改善を行った。また、実験室温度変動に伴う光源レーザーの不良がみられたため、その対策を実施するなど、測定システムの安定化への処置に時間を要してしまい、当初の期待通りには、計画は進んでいない状態である。
測定システムの安定化への処置は、平成26年度中に実施済みであるので、これを踏まえて、目標とする空間分解等の性能・検証の実地、および実材料・デバイスへの適用を進めていく予定である。
当初、国内学会への参加費用に使用予定であったが、他業務との関係から、参加を見送ったため。
次年度においては、研究成果を国内学会で発表するために、当該予算額を国内旅費として使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (5件)
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