研究課題
基盤研究(C)
次世代の高効率光・電子デバイス実現のキーとなる高品質非極性面窒化物半導体結晶の実現を目指し、面方位の新たな制御技術の確立を目的とし、GaAs基板の各種面方位によるエッチング異方性を利用した基板加工、およびそれに続く加工基板上への窒化物半導体結晶の選択的結晶成長を試みた。平成25年度は、GaAs(110)基板加工および基板のエッチング条件の探索を実施し、優先的にGaAs(111)Aファセットを形成する条件、(111)Aおよび(111)Bファセットの両方を形成する条件を見出すことに成功した。また、形成したファセット面上への選択成長についてGaNおよびInNの成長を実施した。GaN成長については、最適な成長温度が1000℃付近と高温のため成長時にGaAs基板の劣化が生じ、高品質の結晶を得るに至らなかった。しかし、過去の申請者の研究でGaAs基板上への低温堆積緩衝層の導入による基板劣化抑制の知見があり、今後低温堆積緩衝層の導入を検討し、基板劣化を抑えた選択成長の実現を試みる予定である。InN成長については、(111)Aおよび(111)Bファセットを形成した基板上への成長を試みた。InNは成長温度によりその極性安定性が異なり、高温においては窒素極性(表面窒素原子が一層下のインジウム原子と3本の結合を形成している様)が安定となり、(111)B面へ選択的に成長する様子が確認された。今後、成長膜厚の増加を試み半極性InN膜の作製を実施する予定である。
2: おおむね順調に進展している
GaAs基板の異方性エッチング挙動について詳細に把握することができ、再現性良く(111)Aファセット、(111)Aおよび(111)Bファセットの形成を可能とした。GaN成長については、基板劣化の問題が浮上し今後低温堆積緩衝層の導入を形成することとなるが、InN成長については選択成長を確認することができ、今後半極性InN膜の形成が期待できる。
上述したように、GaNの選択成長実験については成長温度の高温化に伴うGaAs基板の劣化が問題点として浮上した。平成26年度以降の研究においては、低温堆積緩衝層をはじめとする基板表面保護膜の導入を検討し、その後GaN選択成長および半極性GaN膜の形成を試みることとする。また、成長した膜中の結晶欠陥(貫通転位)の挙動を解析し、高品質膜形成の指針として役立てる。InN成長については選択成長を確認することができたため、今後成長膜厚の増加による半極性InN膜の形成を目指し、成長最適条件の探索を実施する。また、成長したInN膜の結晶性、特に転位伝搬挙動の解析を実施し、高品質膜形成を目指す。
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