研究課題/領域番号 |
25390065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中川 清和 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (40324181)
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研究分担者 |
山中 淳二 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (20293441)
佐藤 哲也 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60252011)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Ge/Si基板ヘテロ構造 / 水素ラジカル加熱 |
研究概要 |
1.極薄膜a-Ge/Si/石英ガラス基板の加熱実験:水素ガス流量5 sccm、マイクロ波出力1000 W,圧力30 Paという条件で加熱処理時間30秒,、80秒、100秒のラマン分光法測定を行った。(a)加熱時間30秒では結晶化ピークが確認できないことから、結晶化が起きていない。(b)80秒、(c) 100秒のラマン散乱スペクトルは、Ge-Ge結合由来の結晶化ピークを確認でき、結晶化が起きたことが分かる。光学顕微鏡による観察により、(b)(c)共にGe膜の表面が荒れている。加熱処理によりGe膜が溶融・蒸発し、加熱終了後、冷却過程でシュリンクし島状に変化したと考えられる。この結果から、プラズマ加熱処理を行うことにより、Geの融点である950 ℃以上に温度が上昇していると推測できる。 2.a-Ge(300 nm)/Si/石英ガラス基板の加熱実験:1分加熱処理後のラマン分光による測定を行った結果、Ge-Ge, Si-Ge, Si-Si結合由来の3つの結晶化ピークが確認でき、Geと下層のSi層が混ざり合ったSiGe混晶が生成している。この結果から、Ge膜厚を厚くし水素プラズマ加熱処理を行うことで、下層のSi膜を結晶化でき、さらにSiGe混晶を生成できることを確認した。上記の結果を受けて、 3.Ge/Si(100)基板の加熱実験:まず平坦なGe結晶を得るための条件を調べた結果、400℃でSi基板上にGeを80nm堆積することで鏡面状のGe表面が得られた。GeとSiの格子不整合から島状構造となる系であるが、低温成長のためGe原子運動が抑制され、島状構造ではなく転位、点欠陥が導入されていると考えられる。この試料の水素ラジカル加熱実験を行った。加熱時間を30秒、マイクロ波出力を500Wとして加熱したところ、ラマンピークが低波数側にシフトしており、引っ張り応力が印加された結晶Geが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度では、Si基板上に成長したGe膜の加熱条件の検討を行うことを掲げており、特に蒸発を防ぎ、かつ溶融により島構造とならない条件の調査を行う、こととしている。 今回、Si基板上に表面荒れの無い80nm膜厚の結晶Ge層形成条件、さらに蒸発が生じずに結晶性の良好な加熱条件が分かってきており、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Geの融点付近では、Geの蒸気圧も高く、加熱により溶融と蒸発が同時に生じている。Geの蒸発が生じない結晶性向上を目指し、 1.a-GeをSi基板上に堆積させ、水素ラジカル加熱による固相成長法の検討を行う。 2.Geの蒸発を抑制し溶融のみ生じさせるために、Ge表面にシリコン酸化膜等の蒸発防止膜を堆積し、その上に遷移金属を加熱部分にのみ選択的に堆積し、遷移金属を加熱することによりGeを溶融、結晶化をGeの蒸発無で行うことができる。遷移金属としてはタングステンを用いる。(タングステンでは加熱温度が1200℃程度である。) 3.上記方法で形成したGe/Si膜の結晶構造解析、デバイス作製による結晶性評価を行う。
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