研究実績の概要 |
本研究の目的は、マイクロ波プラズマ中の水素ラジカルによる表面のみの加熱現象を用いて良好な結晶性と表面モフォロジーを有するGe/Si 基板ヘテロ構造を可能とする技術開発を行うことである。 平成27年度は以下の目標を掲げて研究を推進した。 1.W/SiO2/Ge/Si(100)基板構造で、Geの膜厚を変えて加熱実験を行い、Geの最適膜厚を求める。2.700℃または800℃での加熱の繰り返し回数による転位密度の変化を調べ、最適条件を求める。3.Ge/Si基板上に電界効果トランジスタを作製し、電気的観点からの結晶性評価を行う。 その結果を以下に記す。1.Ge膜厚50 nm,100 nm,300 nm,400nmのものを作製した。この際、加熱温度は750 ℃、加熱時間は0.1秒で行った。TEMにより膜厚依存性は確認されなかった。2.加熱回数を変化させ欠陥濃度のTEMを行った。750℃、0.1 secの急速加熱を1回、3回、5回、Geの膜厚は300 nmである。その結果、加熱回数依存性は無いことが分かった。 以上の結果を受けて、3.Ge/Si基板上にp-MOSFETを作製し、特性評価を行った。本研究ではゲート酸化膜として我々の開発したTEOSによる堆積酸化膜(Si(100)基板との界面準位が~4x1010 /cm2・eVと極めて良好)を用いた。チャネルのGe膜の上にゲート絶縁膜のSiO2膜を堆積させると界面準位密度が高くなる。界面準位密度を低く抑えることを目的としGe層の上にSi-cap層を形成した。5 nm-Si-cap/300 nm-Ge/n-Si(100)基板構造を形成した後に上記方法で欠陥を減少させ、その上にp-MOSFETを作製した。その結果、Siのp-MOSFETの移動度(200 cm2/V・s)をはるかに超える~380 cm2/V・sを確認した。
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