最終年度となったH27年度においては、おおよそ以下の4項目の成果を得た。1.p型4H-SiCの(0001)Si面およびC面における定量的な表面再結合速度を得た。2.表面再結合速度を導出するための計算モデルを見直し、従来一定値であると仮定していたパラメータを考慮した。その結果、高い精度で表面再結合速度を定量化可能な新しい解析手法を確立した。3.新たに確立した解析手法によりn型4H-SiCの表面再結合速度について、従来より高い精度で定量化することができた。4.n型4H-SiC(0001)Si面およびC面の表面再結合速度が、表面に吸着した物質に影響を受けることを見いだした。 また、研究期間全体としての目標は、n型・p型4H-SiCの様々な面方位における表面再結合速度の定量化と、pinダイオードによる値の確認としていた。当初は、ほぼ研究計画に沿って実施をしていたが、高精度化のために上記のように計算モデルの見直しを実施したため、H27年度は計画と異なる実施内容となった。 総括すると、期間全体として得られた成果は以下のようになる。A.n型4H-SiC(0001)Si面およびC面の表面再結合速度の定量値およびその温度依存性を得た。また、様々な表面処理を施した後の値も導いた。B.p型4H-SiC(0001)Si面およびC面の表面再結合速度の定量値を得た。C.マイクロ波によるキャリアライフタイム測定において、測定値の精度を高める手法を見いだした。D.様々な温度、伝導型、ドーピング密度および過剰キャリア濃度での実験結果に対して、高精度にフィッティング可能な計算モデルによる解析方法を確立した。E.4H-SiCの表面再結合速度が表面に吸着した物質に影響を受けることを見いだした。 当初の計画通りとはいかなかったが、上記のように多くの成果を得ることができたと考えている。
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