研究課題/領域番号 |
25390068
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
福澤 理行 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60293990)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 結晶評価 / 残留歪み / 光弾性法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、六方晶バルク基板(GaN, SiC)や、大型鋳造Siの残留歪み定量イメージングを世界に先駆けて実現することにある。基板の高品質化には残留歪みの低減が不可欠だが、六方晶や大型基板では定量性と分布測定を両立できなかった。本研究では、ステッパー機構を備えた自己補償イメージング偏光計(SCIP)を新たに開発し、六方晶における自然複屈折と歪み誘起複屈折の分離、大型基板への対応、という2課題を解決する。 本年度は特に、大型鋳造Si基板をターゲットとした大口径赤外イメージング偏光計を新たに構築した。大口径赤外光源、回転偏光子・検光子、InGaAsカメラ、画像処理ユニット、を備えており、結晶シリコン板中の100mm角領域について、応力性複屈折分布をを約5分で取得できた。本成果は6th World Conference on Photovoltaic Energy Conversion (WCPEC-6)にて発表した。また、定量イメージングの実現のため、SCIPを用いて、SiC基板の応力性複屈折を多数測定し、光弾性定数の実測に向けて有用なノウハウを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主な成果は、赤外イメージング偏光計を新たに構築し、多結晶Si基板の100mm角領域について、約応力性複屈折分布を5分で取得できたことにある。これは、研究目的に挙げた2課題のうち「大型鋳造Si」に対応する上で不可欠なステップである。大型基板搬送ステッパー機構の構築には至らなかったものの、機構設計には目処が付いており、目標達成には差し支えない。 また、SCIPを用いて多数のSiC基板を測定する過程で、光弾性定数の実測に向けて有用なノウハウを得ており、研究目的に挙げた2課題のもう一つである「六方晶バルク基板の定量イメージング」の目処も付いた。 以上の理由から、本研究は、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1.バルクGaN 基板, SiC 基板の残留歪み定量イメージング 国内外のバルク基板メーカーに試料提供を依頼し、残留歪みの定量イメージングを多数試みる。 2.大型鋳造Siインゴットの残留歪みイメージング 研究協力者から、実用サイズの鋳造炉で成長された大型Si結晶塊スライスの提供を受け、ステッパー測定によって、試料を分割切断せず測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、当初に想定した海外出張を取りやめたことによる。 イメージング偏光計開発や、国内出張、大学院生への謝金支出額は確保できており、本年度の研究遂行には支障がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
当該助成金は、翌年度分として請求した助成金と合わせて、主として成果発表旅費に支出する計画である。
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