研究課題
本研究では、窒化物半導体光・電子素子の特性を議論する上で、欠かすことのできない表面・界面における再結合過程を調査し、発光効率向上に向けた設計指針を提案することを目的とした。①RF-MBE法により、p層、n層ともにGa0.82In0.18Nで成長されたLEDを試作し、高InNモル分率のGaInN実現に向けた課題を明らかにした。②AlGaN/GaN系電子素子において、AlGaNの表面状態の制御は重要な課題である。そこで、AlOx薄膜の有無、成長条件の違いが、AlN/GaNヘテロ構造の発光特性に与える影響を、PLと時間分解PL測定により調査した。その結果、2DEG関連の発光エネルギー、発光寿命の変化から、AlOx構造により表面状態のコントロールが可能であることを示唆した。③酸化膜の調査と並行して、酸化ガリウムそのものの特性を調査した。酸化ガリウムはバンドギャップがGaNやSiCよりも大きく単結晶作製も容易なため、パワートランジスター材料として近年、特に注目を集める。最終年度には完成した温度依存測定システムを用い、光学遷移時に励起子が形成されることを指摘した。また、赤外分光エリプソメトリ測定から励起子と縦光学フォノンとの相互作用が重要な役割を果たすことを示した。得られた結果は、素子特性向上に向けた設計指針を与える。④GaN MOS LEDを試作した。分子プリカーサー法により製膜したGa-In-O薄膜を電極とすることで、同薄膜が遠紫外線領域での透明導電膜用の材料として有用であることを示した。最終年度は、フォトリソプロセスによりGaN MOS LEDの集積化に成功した。EL測定で GaNのバンド端付近の紫外線発光を支配的に観測した。⑤分子プレカーサー法を用いAgナノ結晶を分散したZnO薄膜を製作した。GaInN系青色LED上へ堆積し表面プラズモンの効果を検討した(最終年度に実施)。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 10件、 招待講演 3件)
Applied Physics Letters
巻: 108 ページ: 101904 1-5
10.1063/1.4943175
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 54 ページ: 112601 1-5
10.7567/JJAP.54.112601