研究課題
本年度は、PLDで作製した正極活物質LiCoO2薄膜の上に、スパッタ法で固体電界質LiPON薄膜を成膜し、さらに負極としてLi金属膜を成膜して薄膜型の全固体リチウム電池を作製した。全真空プロセスにより薄膜を積層、in-situ評価することにより、清浄かつ構造を規定した界面を有する全固体電池を作製し、電解質/電極界面におけるイオン伝導を定量的に評価することができた。本研究では、RFスパッタ法によるLiPONの作製において、LiCoO2/LiPON界面に導入されるダメージ(欠陥)に着目した。スパッタ時のイオン衝突によるダメージを低減するため、基板とスパッタターゲットの中心軸を水平方向にずらしたoff-axis位置において成膜を行った。作製した薄膜電池は、理想的な充放電動作を示し、100サイクルの充放電動作においても容量劣化は認められなかった。この薄膜電池の界面抵抗を交流インピーダンス法により評価したところ、低周波領域に観測された円弧成分から導出した界面抵抗は8.6 Ωcm2と極めて小さい値となった。一方、基板とスパッタターゲットの中心軸が揃ったon-axis位置でLiPONを成膜した場合には、界面抵抗が880 Ωcm2と大きくなった。on-axis位置ではスパッタ成膜中のイオン衝突の影響が大きいため、LiCoO2表面にダメージ(欠陥)をもたらしたと考えられる。off-axis位置で作製した際の界面抵抗(8.6 Ωcm2)は、これまで全固体電池において報告されている値より一桁低い。さらにこの値は、液体電解質/LiCoO2界面において報告された界面抵抗(25 Ωcm2)よりも低い。高い界面抵抗の起源と考えられてきた空間電荷層の影響が、LiPON/LiCoO2界面においては無視できることが明らかとなった。
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