研究実績の概要 |
(1)ゲート絶縁膜として,UV重合型液晶高分子膜,液晶垂直配向膜及び,液晶光配向膜の三種の絶縁膜について,主に電気特性の検討を行っている.液晶垂直配向膜以外の絶縁膜では,TFTの絶縁膜として十分な絶縁特性が得られることがわかった.UV重合型液晶高分子膜と液晶光配向膜に関して検討を行い,室温において誘電率には大きな異方性は観測されず,比誘電率は4程度であった.さらに,UV重合型液晶高分子膜に関してはTSC測定による膜欠陥準位の評価を行い,UV重合条件時の未反応基に起因すると考えられる欠陥準位を同定した.(一部結果に関してはMCLCへ投稿しAcceptされた。欠陥等の結果については現在論文準備中)
(2)真空蒸着による有機半導体薄膜形成材料として,ペンタセン及び液晶性を有する2,9-ジプチルペンタセンを,スピンコート法による薄膜形成材料としてC13-BTBTを用いた.液晶垂直配向膜をゲート絶縁膜として用いる場合絶縁特性は不十分であるため,High-k材料であるTa酸化膜を下地膜とした二層構造のゲート絶縁膜を用い,ペンタセン素子(MIS及びTFT)の作製を行った.垂直配向膜の表面エネルギーを制御(表面アルキル基密度の制御)することで,高移動度ペンタセンTFT作製のための最適配向膜を求めた.(MCLCへ投稿しAcceptされた)
(3)有機半導体材料として液晶性を有するペンタセン等を用い,TFT特性等の評価を行った.UV重合型液晶高分子膜を含む新規なUV反応性分子配向絶縁膜をゲート膜材料として用い,諸特性の比較検討を行った.その結果,比較的有機半導体分子に対して配向規制力の弱い絶縁膜の方が,高移動度を得られることがわかった.特に,新規な光反応性分子配向絶縁膜を用いた有機TFTで,大きな移動度等の異方性を観測できた。(電子情報学会技術報告に発表,MCLCへの投稿準備中)
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