研究課題/領域番号 |
25390086
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
原 徹 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主幹研究員 (70238161)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 分析電子顕微鏡 / 組成分析 / 超伝導遷移端センサ / 金属材料 |
研究概要 |
平成25年度の当初計画は、TEMに搭載した多ピクセルTES型X線検出器によって、正しいスペクトルを得るための開発段階という位置付けであった。具体的には(1)X線集光効率の最適化、(2)正しいスペクトルを得るための集光素子および検出器のアライメント、(3)さらにX線集光効率を上げるためのアイデアの創出と基礎設計、を実施する計画であった。しかし、本課題の開始後に、(1)開発した検出器を搭載するための新規STEMの導入、(2)JST先端計測(機器開発)に採択され次世代の検出器の開発を開始、という装置環境の変化があった。本課題の基本的な内容には変更は無いものの、装置環境変化に伴い、実施スケジュールの変更と、より進んだ内容へ修正することとした。装置構成が大幅に変更されて新しくなったが、本課題の当初計画からの内容の変化はほぼ無く、実施項目はほぼ計画書通りとする予定である。 平成25年度中盤に、新たにSTEM(日立ハイテク製HD-2700B)を導入し、これまで開発してきたTES検出器を設置した。その前段階として、これまで使用していたX線集光素子を新STEMに移設し、基礎特性評価を実施した。これまでとは入射電子線や試料に対するX線集光素子の配置は異なるが、新たに設計・製作したX線集光素子位置調整ステージでアライメントできることを確認した。また、設置するSTEMを変更したため、X線集光素子もこれまでとは異なる形状のものを挿入することが可能になった。新STEMのレンズ周りの機器配置に合わせて、さらにX線集光効率を高めた集光素子の概念設計を開始した。 装置導入に時間がかかったために本課題のスタートが若干遅れた。しかし、新しい装置構成のもとで進度はほぼ計画通りに戻すことができている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、(1)X線集光効率の最適化、(2)正しいスペクトルを得るためのX線集光素子および検出器のアライメント、(3)さらにX線集光効率を上げるためのアイデアの創出と基礎設計、を行なう予定であった。上記「実績の概要」項に記載したが、開発した検出器を搭載するための新規STEM導入を行った。そのため、本課題の実質的な開始が数ヶ月遅くなった。しかし、新規STEMでのX線集光素子調整ステージ等が順調に動作したこと、X線集光素子は従来のものがそのまま使えたことから、計画からの遅れは最小限に抑えることができている。従来のX線集光素子を利用しているので、新STEMに最適化されているものではないが、この集光素子を用いて得られた基礎データをもとに、X線集光素子そのものの最適化のための検討を開始した。当初目的の設計は完了していないが、作業の進行自体に問題はない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は当初計画の予定通り、装置の特性評価を実施し測定条件を確立する「手法確立」の段階に移行する。申請時とは異なり、より高度な分析が可能で、かつ二次元的なマップの取得も可能になったことから、標準試料等によるスペクトルの基礎特性評価だけでなく、マップ機能を用いた二次元的組成分布の評価も実施する。それらのことより、実際に金属材料の組織解析に応用する準備を開始する。装置開発のプロジェクトも並行して進めることになったため、装置更新と整合して本課題の内容が進められるよう実施手順を検討しながら実施する。
|