応募時までに開発した「超伝導遷移端センサ型マイクロカロリメータを搭載した透過型電子顕微鏡(TES-TEM)」を用いた高精度組成分析の手法確立と応用を目指した研究を行ってきた。本研究では装置基礎データ収集と手法構築の実施といった基礎検討を主な内容とし、測定条件の最適化や検出下限値の評価を経て幾つかの実サンプルへの応用を行った。開始年度および二年度目においては、当初計画時に無かった装置改良ができたため、新たな装置を用いて基礎データ収集を行うことができた。その装置を用いて最終年度は標準試料を用いた測定・解析手法の検討を行い、その後に応用研究を開始した。これまでに金属材料や半導体材料への微量添加元素の検出下限値の評価(未公表)や鉱物系試料の微量構成元素の同定(投稿中)を実施し、いずれも通常の検出原理のEDSによる測定では検出できなかったものが分析できるようになったことを確認した。これらのことより、当初目的としていた「TES-TEMを応用研究に供するための基盤技術の確立」は達成できた。
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