研究課題
自然光で照明された多色物体からの光波を干渉計測し,信号処理を施すことにより,多数の波長バンド毎の立体映像を同時に得る技術を開発し,その3次元空間結像特性と分光特性を理論的に解明した.特に,3次元分光立体像の3次元結像特性と分光特性を同時に指定する4次元インパルス応答関数を解析的に導出した.この4次元インパルス応答関数の解析解に基づいて計算されたスペクトル分解能・3次元点広がり関数は実験結果と良く一致することが確認された.さらに,この4次元インパルス応答関数から導かれる3次元点広がり関数は本手法のみならず従来のコヒーレントホログラフィーの3次元結像特性の評価にも利用することができるため,一般のホログラフィック3次元イメージングにおける奥行きに関する正確な分解能を評価する上で有用であることがわかった.従来ディジタルホログラフィーにおいて,奥行き方向の分解能は,波長と再生条件で決まる有効F値から合焦深度を算出し,経験的にこの値のよって評価されてきた.しかし,今回導出した点広がり関数による奥行き方向の強度分布の広がりと従来の系観測を比較すると,両者には大きな隔たりがあることがわかった.従来の経験則はレンズ結像系の焦点深度と同様の考え方であるから,3D物体を2D画像上へ投影して評価している.したがって,3D物体を3Dイメージとして再生するディジタルホログラフィーでは別の評価法が必要と考えられた.そこで導出した4次元インパルス応答関数に基づいて新規な奥行き分解能の評価する規範を導くことに成功した.
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