研究実績の概要 |
波動方程式の持つ「時間」と「空間」対称性に着目し,「アンサンブル平均」を「時間平均」ではなく「空間平均」で置き換えることにより,現在の「時間平均統計光学」と異なる「空間平均統計光学」の新体系を創成することを目指し,以下の研究を実施した. 【空間統計光学を応用した新しいイメージング技術の提案】 1)光拡散板からの散乱光のスペックル強度の空間平均相関関数から光拡散板の背後に隠された物体の像を再生するホログラフィ相関映像法(Holographic Correloscope)という新技術を提案し実験により原理の有効性を実証した.2)散乱光の空間相関関数を求めるホログラフィ相関映像法が拡散板上に形成されるホログラムを直接撮影して得られるディジタルホログラムを数値再生することと等価であることを示し,この方法により拡散板背後に隠された3次元物体像再生を実験により確認した.3)また,透過型の拡散板だけでなく粗面による反射型の拡散板に対しても有効であることを示した.(IEEE Transactions on Industrial Informatics, 2016, International Symposium on Optical Memory 2016, ISOM’16) 【空間的にランダムな偏光分布するベクトル光波動場のvan Cittert Zernike定理の検証】 1)偏光スペックル場をテンソル波動方程式表現することによりスカラー場と同じ形式のテンソル場のvan Citter Zerinike定理が導出できることを示した.2)偏光スペックルのテンソル場を測定できる干渉計を提案し,それを用いた実験により定理の有効性を実証した.(Proc. SPIE 10022, Holography, Diffractive Optics, and Applications VII, 2016)
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