研究実績の概要 |
ディスプレイの三原色の内,青色原色は,色収差,眼球内散乱,黄斑色素など眼光学的要因の影響を強く受け,また色の見えへの影響が大きい青色原色に着目し,色彩画像の感性評価的視点から最適な青色原色を検討することを目的とする。 実験では、2台のプロジェクターを用いて,一台からは赤と緑の要素を,もう一台からは青の要素を投影し,スクリーン上で合わせることでカラー画像を表示した。青色用プロジェクターのレンズ前面に干渉フィルターを設置して,430nm, 450nm, 470nm, 480nmの4波長のいずれかに設定した。使用した画像は15の色グループ(赤,緑,青,黄,オレンジ,赤緑,青緑,黄青,黄緑,赤青,ピンク,紫,多色,白黒,肌色)から1枚ずつ,計15枚である。実験は4 波長条件(最大輝度Lmax:約60cd/m2)と,430nm を除外した3 波長条件で(最大輝度Lmax:約170cd/m2)で行った。 被験者には提示された画像を観察させ,その印象を「明るい - 暗い」「自然な - 不自然な」など14の評価語対を用いて,SD法により7段階の評価尺度で評価させた。被験者は全員色覚正常者で,4 波長条件では14名,3 波長条件では17名で,大半は20代の男女である。 本研究により以下の成果が得られた。全体としては新規格BT.2020の467nmと近い470nmの条件で高い感性的評価となった。また,この条件においては青系画像の空や海部分の色度が,既往研究でのユニーク青軌跡とほぼ一致し,色の見えの重要性が示唆された。
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