研究課題/領域番号 |
25390093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 孝 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10143752)
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研究分担者 |
大平 泰生 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10361891)
大河 正志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90213644)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 半導体レーザ / VCSEL / 周波数雑音 / 物理乱数 / 磁界 |
研究概要 |
本研究では,我々のこれまでの研究を発展させて面発光型半導体レーザ(VCSEL: Vertical Cavity Surface Emitting Laser)の広帯域周波数雑音特性を解析し,その特性を用いてVCSELをより広い分野に応用可能なレーザとすることを目的としている。半導体レーザは広帯域な変調特性(2GHz程度)並びに周波数雑音特性を持つが,VCSELは更に広帯域な変調特性(20GHz程度)と周波数雑音特性を持つ。これは,VCSELを含む半導体レーザが比較的狭いスペクトル幅の発振モードが高速に動き回っているからと考えられ,この特性を利用した超高速物理乱数の生成を提案している。 また,VCSELに磁界を電流と平行に印加して電流の流れを変化させ,電流の拡散を防ぐことで光出力の増加と短波長側へのシフトを確認した。これを用いた発振波長の制御を目指す。このVCSELの磁界印加時の発振波長シフトに関しては,これまで報告してきたFabry-Perot型の半導体レーザのシフトの方向である長波長側へのシフトとは異なる特性であり,キャリアの高密度化が実現されていることを確認している。これは,VCSELの横モードを制御するためにも効果を発揮するものが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者等はこれまでから,半導体レーザの発振周波数安定化の研究,磁界による半導体レーザの周波数シフトの研究,半導体レーザの周波数雑音を用いた光強度雑音の生成に基づく物理乱数の生成の研究を行ってきた。本研究においては実験の対象となるレーザをVCSELとし,磁界を印加するとともに幾つかの周波数安定化システムで周波数特性を制御している。そして,その周波数の変動並びに発振幅を測定することでVCSELの発振周波数特性を評価している。また,VCSELの超高速周波数雑音からRb原子の吸収線を用いて光強度雑音を得て,その信号をA/Dコンバーターを通してランダムな2進数列を作成しその乱数性を評価し,この方法が超高速物理乱数の生成法として適用可能であることを実証している。
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今後の研究の推進方策 |
ダブル光フィードバック法とRb原子の吸収線を周波数基準として用いた電気的フィードバック法による安定化を同時に行うことで,VCSELにおいて非常に高い周波数安定度が実現する。更に磁界の印加を行うことで,VCSELの横モードを制御し,周波数安定度を向上させ,光出力を増加させる。 また,我々のこれまでの研究結果で,5,000 Gaussの磁界を加えることで1GHzを超える周波数シフトが観測されているVCSELもあることから,超精密距離測定を人工衛星の軌道上で行う実験に搭載を検討している衛星搭載型半導体レーザ光源としてVCSELを選択した際の磁気シールドの必要性などの条件についても検討を加えたい。 更に,VCSELの超高速周波数雑音からRb原子の吸収線を用いて光強度雑音を得る。そして,A/Dコンバーターを通してランダムな2進数列を作成しその乱数性を評価し,この方法が超高速物理乱数の生成法として適用可能であることを実証するに,周波数安定化時における乱数生成の確認を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1品が残額を超える消耗品を購入するため繰越を行った。 平成26年度に速やかに使用する予定である。
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