研究実績の概要 |
本研究は、実用的な超大口径の擬似位相整合(Quasi Phase Matching, QPM)波長変換デバイスの実現と、その超短パルス発生への適用のため、QPMデバイスの厚板および傾斜化と周期構造のチャープ化の検討などを行うことを目的として検討を行った。研究最終年度である平成27年度は、それまでの検討結果をもとに、チャープ構造を有するQPM素子を用いた広帯域中赤外光発生や超短パルス光発生への適用を行った。また、新たな非線形光学結晶として水晶の利用を検討し、これを用いた大口径QPM素子の検討を行った。
1 チャープ構造を有する大口径QPM素子を作成し、サブナノ秒光源による高強度励起シングルパス波長変換を行うことで、波長2ミクロン帯域での広帯域光発生や波長1.5ミクロンと波長3ミクロン帯光高効率発生を実現した。 2 大口径QPM素子や傾斜構造QPM素子を用いて海外グループとの共同研究を行い、中赤外高出力超短パルス発生や高出力波長可変中赤外高発生などを実現した。 3 ニオブ酸リチウムなどの強誘電体結晶、LiB3O5(LBO)などのホウ素系結晶に代わる,新たな非線形結晶として、水晶の利用を検討した。従来の結晶に比較して非線形光学定数は劣るものの高いレーザー光損傷耐性を示す水晶は、サブナノ秒~ピコ秒領域の短パルスレーザー応用に適しており、薄板化した水晶の多数積層化によるQPM素子を作成し、高強度光用の新たなQPM材料になり得ることを確認した。
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