研究実績の概要 |
光ディスクを利用した情報アーカイブに関して、記録の多値化、多層化、超解像再生がともに期待される機能性材料(InSbOx, 組成比x≦4)を用いた大容量化の検討を進めている。これまでに、予め一定量の酸素を含むターゲットをアルゴン雰囲気下でスパッタリングすることで機能性薄膜の成膜再現性を十分に確保した。多層化と超解像再生が光学的に両立し得る酸素比条件の一例(x=3程度)を導出し、そのときの光学定数(屈折率=2.6, 消衰係数≦0.5)など、基礎的な物性を評価した。また記録機構の一因として、ZnS-SiO2膜との積層時に600℃加熱で5%の膜厚増加があることを明らかにし、変形記録が成される可能性を見出した。また超解像再生機構として機能性薄膜の昇温に伴うバンドギャップシフト[1]に由来する可能性を指摘していたが、波長405 nmにおける特性評価を行ったところ、薄膜を900℃で2時間加熱後は、室温と600℃の間で可逆的な光学特性変化があることを実験的に明らかにした。併せて、成膜直後は電気的に絶縁性を示していたが、同条件で加熱処理後は、材料系本来の特長である電気伝導性[2]が現れることを確認した。最終年度は記録多値化の可能性を中心に検討を進め、記録大容量化へのコンセプト構築に向けた取り組みをまとめる。[1] M. Yamamoto et al., Jpn. J. Appl. Phys. 43(2004)4959, [2] N. Kikuchi et al., Vacuum 65(2002)81.
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