研究課題
大気圧非熱平衡プラズマは、動作ガス種、流量、照射距離等、様々な制御パラメータがある。これらのパラメータの制御により、大気圧非熱平衡プラズマによって生成される気相中化学種の密度や空間分布が変化する。従って非熱平衡プラズマの制御因子のそれぞれが、溶液に及ぼす種々の化学反応に対する寄与を明らかにすることが重要である。大気圧非熱平衡プラズマの動作ガスに微量の反応性ガス添加が、気相中の活性種および液中化学反応に及ぼす影響を調査した。大気圧非熱平衡プラズマ源には、ガラス管に一対の円筒電極を巻き付けたプラズマジェット生成用のリアクターを用いた。低周波の高電圧電源を大気圧非熱平衡プラズマジェット(NAPPJ)生成に用いた。気相中の活性種の挙動調査には、発光分光計測法を用いた。一方、液相中の化学反応は、液中OHラジカルに着目し、テレフタル酸をプローブとする化学プローブ法を用いた。動作ガス(He)に対する酸素混合率を増加させるにつれ、気相中の酸素原子の発光強度が増加した後に減少することが分かった。これは、1)動作ガスへの酸素ガス混合率が微量の場合にはプラズマ中の酸素由来の活性種が酸素ガス添加しない場合に比べて増加する、2)混合率が増加しすぎると電子と酸素分子との衝突頻度増加により、NAPPJ中の電子エネルギーの減少と、電子密度の減少をもたらし、気相中の酸素原子の発光強度の減少に寄与しているものと考えられる。一方、液相中のOHラジカル生成量および気相中の酸素原子の発光強度は、どちらも酸素混合率に対し、一度増加したのちに減少するという傾向があることを見出した。これは、液相中のOHラジカルが、気相中の酸素ラジカル由来の活性種により生成される可能性を示唆するものと考えられる。
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Chemistry Letters
巻: 44 ページ: 1473-1475
10.1246/cl.150656
Plasma Processes Polym.
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