研究実績の概要 |
GaAs表面を窒化することにより原子層レベルのGaN層が形成されるが、この窒化過程で大気圧プラズマを用いる事で、GaNを再成長する際の再現性や膜質の改善が行われ、その生産性が大きく向上する可能性を持つ。本研究では高分子樹脂フィルムなどの表面改質に用いられている大気圧マイクロプラズマを用いてGaNの表面改質効果を実験的に検討したところ、以下の結果が得られた。 放電電圧-1.3 kV、パルス繰り返し周波数24 kHz、Arガス5 L/min、マイクロプラズマ電極とGaN表面の間隔1 mm、処理時間10 秒でマイクロプラズマ処理を行ったGaNサンプルで比較を行い、接触角測定器(協和界面科学, PCA-1)を用いて、GaN表面に5 µLの蒸留水を滴下し、θ/2法による算出を行ったところ、プラズマ処理前では65.8°プラズマ処理後では22.6°となり、40°以上の減少が確認された。マイクロプラズマ処理による各種活性種がGaN表面へ作用したものと考えられる。 またプラズマによる表面処理によって対象物の表面への官能基の導入や化学組成の変化が期待されるためGaNの表面処理後の化学的変化を調べるためXPSを用いてGaN表面の化学結合解析を行ったところ、GaNを形成しているN-Gaピークの増加がマイクロプラズマ処理後のサンプルより確認された。処理を行う際に大気に暴露されていたため、若干の窒素酸化物(N-O)も確認された。
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