研究課題
本研究の目的は、高周波数・高分解能をもつ超音波顕微鏡技術を開発し、ナノ構造試料などの表面形状や3次元内部構造を非破壊的に測定ならびにイメージングすることである。この技術は、10-100GHz帯の超音波を励起・検出するレーザーピコ秒超音波法を基にしている。従来の超音波顕微鏡において高周波数化・高分解能化する際にネックになっていた高周波数の励起・検出・減衰の問題を、光パルスによる超音波パルスの局所的な励起・検出によって克服し、ナノスケール分解能での超音波顕微鏡技術を得ることを目的とする。今年度は以下の研究を行った。1.任意周波数の励起・測定:昨年度に引き続き、従来はパルスレーザーの繰り返し周波数の倍数成分しか測定できなかったものを、任意周波数で測定する方法の研究を行った。銅でできた円形のマイクロ構造がシリコン中に埋め込まれた試料を用いて、その円形の構造内部に沿って伝わる表面音響波をイメージングするデモ実験を行った。従来の方法では周波数分解能が足りず分離できなかったモードを分離することに成功した。この成果は、Optics Letters誌に発表した。2.ピコ秒超音波による生体細胞の内部3次元イメージング:透明物質中である生体細胞(牛の内皮細胞とマウスの脂肪細胞)を伝わるピコ秒超音波パルスを計測し、その測定した音速を利用して深さ方向の弾性率分布を求める実験を行った。さらに試料である細胞を2次元方向に走査することも合わせて3次元イメージングを実現した。この成果は、Applied Physics Letters誌に発表した。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
Light, Science and Application
巻: 5 ページ: 16082-1-7
10.1038/lsa.2016.82
Applied Physics Letters
巻: 106 ページ: 163701-1-5
10.1063/1.4918275
Optics Letters
巻: 40 ページ: 2157-2160
10.1364/OL.40.002157
Philosophical Transactions A
巻: 373 ページ: 20140364
10.1098/rsta.2014.0364
http://kino-ap.eng.hokudai.ac.jp/j-index.html