微小な部品が密集するマイクロメカニズムでは,部品間の固着により機能が停止する.その要因となる力として真空の電磁場が量子的にゆらぎことで生じるカシミール力が挙げられる.通常,カシミール力は引力であるが,特別な条件を満たす場合は斥力になり得る.そこで,本研究ではこのカシミール斥力で物体を浮揚させることにより,固着の防止と摩擦の低減が実現できることを示した.具体的には,気液界面近傍に存在する金属粒子に作用するカシミール斥力を理論的に解析し,その応用として懸垂液滴に捕獲された単一微粒子の質量計測を行った.
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