研究課題
基盤研究(C)
本年度は、まず周波数変化型2軸加速度センサに使用する新しい直角横振動子の有限要素法による特性解明を行った。そして、振動子の最適寸法値を決定すると共に、これを加速度センサに応用した場合の設計法に関する各種の知見を得た。以下に、その具体的成果について下記する。1.2軸加速度センサ用直角横振動子の諸特性の解明両端での振動変位が著しく小さい2個の横振動子を直角に接合させた新しい横振動子は、特定の寸法値で予想に反して結合振動を起こすことが明らかになった。しかし、2個の横振動子のサイドアーム長を調整することによって、問題となった結合振動が殆ど発生しなくなることが明らかになり、直角振動子単体の寸法値決定が可能になった。2.2軸加速度センサの新構成の検討検討した2軸加速度センサは、直角横振動子を構成する2個の横振動子の接合部を下部に配置したセンサ質量の重心に接続させ、振動子の共振周波数の変化から加速度を知る新しい構成である。この構成では、設計済みの直角振動子を質量に接続させたところ、さらに振動子のサイドアームの微調整が必要であることが分かった。また、センサの駆動・検出のために、振動子の中央アームに圧電セラミックスを接着させたところ、この場合も再度サイドアームの微調整が必要であることが分かった。以上の各ステップを踏んで、最終的に周波数変化型2軸加速度センサの設計が可能となった。設計に手間取り、実験的検証については次年度に実施することにした。
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究計画によれば、2軸加速度センサの実験的検証までを終了する予定であったが、設計に手間取り、この部分だけが次年度の実施予定となった。しかし、センサの設計指針の確立と具体的寸法設計が終了して、これに基づき実験試料の製作が既に完了しているので、計画としてはおおむね順調に進展していると考えている。
本研究のようなMEMSセンサを想定した基礎的研究はきわめて重要であり、さらに加速度、角速度の多軸化を目指したい。この種MEMSセンサは、各種論文は公表されているものの、量産化され実用化に結びつくものは、きわめて少ない現状と言える。センサの構造が複雑とならないことが重要で、圧電的駆動および検出方法を活用した研究方針を貫きたい。
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Proceedings of Symposium on Ultrasonic Electronics
巻: 34, No. 1P3-16 ページ: 161-162