研究課題/領域番号 |
25390123
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
川戸 栄 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60313730)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 半導体レーザー励起 / 固体レーザー / 高効率化 / イッテルビウム |
研究概要 |
1) レーザーの高効率化及び高出力化理論の構築 まず,連続波レーザーの高出力化に伴う熱光学歪補償技術を確立するため,レーザー発振時の熱光学歪の測定技術を開発した。また,高出力化に伴うスロープ効率の低下を抑制するため,高密度励起による結合効率の向上,熱光学歪の最適補償によるモードマッチング効率の向上などの手法を開発した。発振閾値の低減に関しては,励起光のモード体積の低減,熱複屈折損失の補償,冷却効率の向上による準4準位レーザー損失の低減手法を開発した。次に,上記で確立した補償技術を高繰り返しパルスレーザーに導入し,高密度励起による高繰り返しレーザーの安定化,高効率化及び高出力化を行う理論を開発した。最後に,上記の理論を元にして,高利得化及び高非線形性を用いたレーザー内部の線形波動伝搬の理論を構築した。時間及び空間併せて4次元の波動伝搬を,レーザー内部の空間モード制限により時間+空間1次元(縦モード)と空間2次元(横モード)に分離し,高非線形性に伴う光学歪を補償し,高出力化,高効率化,広帯域化及び短パルス化する理論を構築した。2) 小型化・単純化可能な高効率連続波レーザーの高出力化 上記の理論を元に半導体レーザー励起連続波レーザーを開発し,実験結果を理論と設計に相互に反映させることにより,効率77%,出力1.27 Wの出力特性を実現した。これらの成果により,高出力化によるスロープ効率の低下,発振閾値の上昇の抑制するための基本的な理論の構築に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,理論の構築に関しては,連続波から超短パルスレーザーを含む基本となる理論の構築に成功している。付随した成果として,レーザー発振時の光学歪の測定手法も開発することに成功している。また,実験に関しては,効率77%,出力1.27Wの特性を得ており,目標の効率をほぼ実現している。出力に関しては目標にはまだ達していないが,励起光源の改善により高出力化は容易であると考えられる。よって,おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度:前年度に加えて,新たに下記のテーマについて研究を行う。 3) 高繰り返し・高効率パルスレーザーの高出力化 前年度の成果を元に高繰り返しパルスレーザーの開発を行い,実験と理論・設計へのフィードバックにより,高利得化による安定化,高効率化及び高出力化の要素技術を確立する。まず,高繰り返し化(100 kHz)に伴うパルス出力の不安定性を高利得化により解決する。次に,高出力化に伴う損失を補償し,高効率化,高出力化を実現する。 次年度:これまでに加え,下記テーマの研究を行う。 4) 超短パルスレーザーの高効率化,高出力化,広帯域化及び短パルス化 これまでの成果を元に超短パルスレーザーの開発を行い,実験と理論・設計へのフィードバックを重ね,高利得化と高非線形性による高効率化,高出力化,広帯域化及び超短パルス化の各要素技術を明らかにするとともに,小型化及び単純化が可能となる超短パルスレーザー開発手法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
必要としていた光学素子の納入が間に合わなかったためである。 費用は少額であり、すぐに使う予定である。
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