研究課題
幅広い分野で応用が期待されている超短パルスレーザーであるが,高効率化・高出力化理論の未確立,発振・可変スペクトルの狭帯域化に起因する超短パルス化の限界のために,効率が低く,大型・複雑・高価な装置となっている。そこで,本研究では,超短パルスレーザーの高効率化,高出力化,広帯域化及び短パルス化を行うための要素技術を構築した。高効率化及び高出力化理論の構築に関しては,以下の取り組みを行った。まず,共振器及び熱光学歪の収差を活用したモード制御により,高出力化に伴う熱光学歪に起因するモードマッチング効率の低下を抑制する手法を開発した。加えて高利得化による結合効率の向上により,スロープ効率を高め,高効率化を行う手法を確立した。利得媒質の熱光学歪及び励起光源の収差を積極的に活用することにより,これまでに達成できた効率よりもさらに高い,量子限界に極めて近い効率を達成できることが明らかになった。広帯域化及び超短パルス化に関しては,高利得化及びレーザー共振器内部の高非線形性を用いたレーザー内部の線形波動伝搬の理論を構築した。時間及び空間併せて4次元の波動伝搬を,縦モード及び横モードに分離し,高非線形性に伴う光学歪を補償し,高出力化及び高効率化,広帯域化及び短パルス化する理論を構築した。上記の理論を元に,集光強度,高速化飽和吸収体の飽和強度及び可飽和損失を変化させて,これに対するパルス及びスペクトル出力の変化を調べた。非線形効果を強めるに従い,出力スペクトルが拡大し,出力パルスが狭くなる傾向は実験と定性的に一致した。一方,分散に関しては,非線形効果が強いとき,2次までの分散の制御では出力パルスが出力スペクトルのフーリエ限界よりも倍以上のオーダーで拡大するが,4次までを含む高次分散の最適化を行えば,約1.1倍にまで近づけることが可能となり,実験結果とも定量的に一致することが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
Applied Sciences
巻: 5 ページ: 1431-1439
10.3390/app5041431
https://www.researchgate.net/profile/Sakae_Kawato
https://u-fukui.academia.edu/SKawato