研究課題/領域番号 |
25390124
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
岩山 勉 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70223435)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シリコンナノ結晶 / 可視発光 / イオン注入 / エキシマランプ / 急速加熱 / RTA / PLD / 量子ビーム |
研究実績の概要 |
半導体シリコンは電子デバイスとしては広く利用されているが、発光デバイスとしては殆ど利用されていない。本研究はこの様なシリコンをナノ結晶化することで、新機能性(発光等)の発現とそのデバイス応用を、イオン・レーザービーム融合したプロセスにより達成しようとするものである。具体的には、イオン注入により過飽和固溶体を形成し、急速加熱、エキシマUV・レーザー光照射などを組み合わせた手法で、プロセスの低温化と発光強度増強の可能性を探ることを主な目的としている。 二酸化シリコンにシリコンをイオン注入し、高温熱処理することで、シリコンナノ結晶が形成され、それとともに可視発光(おもに赤色)が観測される。発光効率(強度)の向上、発光波長の可変性、プロセスの低温可は実用的なデバイスを開発する上で重要な問題となる。私たちの提案している発光モデルでは、発光波長、強度はシリコン結晶のサイズそのものだけに依存しているわけではなく、その局所構造、並びにナノ結晶間の距離(相互作用)などが影響を及ぼしていると考えている。すなわち、発光強度はナノシリコン結晶の数に比例し、その数密度の変化に伴い発光波長も増強できることが期待される。 今年度の研究では昨年度までの研究を継続しつつ、イオン注入のみではなく、他の手法により試料を作製し、類似性、ならびに相違点を調査した。具体的には、圧力制御された酸素雰囲気中でレーザーアブレーレーション(PLD)法により試料を作製し、作製後に様々な処理を施すことの発光への影響を詳細に調べた。この手法はイオン注入に比べ、簡便に条件が制御できることから、イオン注入の条件決定のために極めて有効であり、重要なデータを得ることができた。また、新たに導入したより短波長のエキシマ光(142nm)をイオン注入試料に照射することで、172nmのエキシマランプ以上の効果が得られることも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄に記載した様に、イオン注入のみではなく、酸素雰囲気中でレーザーアブレーレーション(PLD)法により作製された試料からも類似の発光が確認できることを明らかにした。また、同時にイオン注入の条件の詳細を決定のための基礎データも得ることができた。さらに、従来使用していたものより短波長のエキシマ光(142nm)をイオン注入試料に照射することで、172nmのエキシマランプ以上の効果が得られることも確認できた。これらの研究で、発光強度、発光波長を決定するためのキーファクターが決定されつつあり、次年度以降実施する予定の、急速加熱熱・エキシマ光照射の組み合わせによる、シリコンの析出、拡散、核生成・成長、結晶化プロセスの制御について、研究の方向性に一定の目処が立った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果を総合的に整理し、ナノシリコン結晶の実用的なデバイスを開発する上で重要な課題となる発光効率(強度)向上の方法、プロセスの低温化、発光波長の可変性などを詳細に検討する。特に、シリコン注入と光プロセスを組み合わせ、欠陥制御、析出、拡散、核生成・成長、結晶化プロセスを自在に制御することを試みる。また、ナノシリコン結晶を用いた発光デバイスを開発する上で重要な注入層の電気伝導度などの電気的な特性評価、電界発光の可能性の探索、熱酸化膜の膜厚を厳密に制御することによる光共振器の形成と発光の狭帯化の可能性など、単に発光素子を指向するのではなく、レーザー発振、サーキットレイヤー間のインターコネクション等も視野に入れ、実用的な光電子機能デバイスへの応用を意識した研究を実施する。同時に、イオン注入法で作製した試料以外に、レーザーアブレーション法でも類似の試料を作製し、それらの類似性、相違について比較検討し、発光過程の総合的理解を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在使用しているエキシマランプ管、急速加熱装置等の部品を寿命等により今年度補修・交換する予定であり、そのための予算を計上していたが、実験の進行状況とそれらの部品の調達納期の関係で見送り、これらを次年度早々に実施するため繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に上記装置等を補修・交換するための部品購入、研究成果の発表のため今秋に開催の国際会議に出席するための旅費・滞在費・登録費、研究総括のための英国渡航費・滞在費等に使用する。
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