研究課題/領域番号 |
25390126
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗木 雅夫 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (80321537)
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研究分担者 |
早野 仁司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (00173055)
柏木 茂 東北大学, 電子光理学研究センター, 准教授 (60329133)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光加速 / マイクロバンチ / エミッタンス交換 / 超放射 / FEL |
研究実績の概要 |
エミッタンス交換、およびスリットによるビーム切り出しを用いたマイクロバンチ構造をシミュレーション上で実現した。しかし生成されたマイクロバンチ構造はエネルギーチャープ(ビーム進行方向とエネルギーに強い相関のある状態)を有しており、そのままではクロマティシティ(色収差)が作られ、ビームの収束に問題があることがわかった。 その解決をはかるため、ビームライン全体をコンパクト化し、エミッタンス交換部の直後にエネルギーチャープを消し去るための加速管を配置し、バンチ全体をゼロクロスの位相に乗せた。それにより、ネットの加減速は生じないが、エネルギー相関をうまく消し去ることができた。 そのように生成したマイクロバンチ構造をビーム輸送し、マイクロバンチ構造にマッチするようなアンジュレーターを通過させることにより、アンジュレーター輻射が生じることを確認した。 発生したアンジュレーター輻射は、マイクロバンチ構造の有無により、超放射による増大が確認されたが、レーザー発振状態までには至らなかった。この理由として、マイクロバンチのコントラストが低い、マイクロバンチ数が10程度と少ない、などの理由が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、位相空間回転によるマイクロバンチ構造の生成に成功し、超放射によるアンジュレーター輻射の増大が見られた。一方で、コントラスト不足やマイクロバンチ数の不足などの理由から、当初予定されていたような強い超放射現象は見られていない。これらを改善するようなビームラインの最適化を進めるが、超放射FELと光加速では、物理的メカニズムは共通であるが、最適ビームライン設計は異なる可能性がある。各々の最適化した設計を進めることで、当初の研究計画を完遂することを目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
達成度の部分でも述べたが、当初の予定通り、位相空間回転によるマイクロバンチ構造の生成に成功し、超放射によるアンジュレーター輻射の増大が見られた。一方で、コントラスト不足やマイクロバンチ数の不足などの理由から、当初予定されていたような強い超放射現象は見られていない。これらを改善するようなビームラインの最適化を進めるが、超放射FELと光加速では、物理的メカニズムは共通であるが、最適ビームライン設計は異なる可能性がある。各々の最適化した設計を進めることで、当初の研究計画を完遂することを目指したい。当初の計画では二重極空洞のコールドモデルの試作も検討していたが、二重極モード空洞自体は新規性のあるデバイスではなく、他の研究等で開発されている横モード空洞が応用可能であると思われる。そのため、コールドモデルの試作は行わず、シミュレーションによる検討と、その結果についての関連する研究者との議論に集中すべきとの判断のもと、シミュレーション用PCの新規購入等を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーションの結果より、横方向モード空洞の試作検討よりも、マイクロバンチ構造の最適化のためのシミュレーションおよびその結果についての議論が重要と考えた。そのため、コールドモデル試作のための検討および製造への支出を取りやめ、研究打ち合わせおよび会議出席のための旅費が中心となった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、シミュレーション用のコンピューター更新、および旅費への支出を中心として、位相空間回転によるマイクロバンチ構造の、光加速、FEL、および他の用途への最適化設計をまとめることを目指す。
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