研究課題
本研究では、カイラルな結晶構造を持つ磁性体の結晶構造及びカイラルらせん磁気構造のヘリシティを偏極中性子実験により検出し、結晶構造と磁性のカイラリティの結合を検証することを目的としている。我々は独自の結晶育成手法によりCsCuCl3の結晶構造のカイラリティを単一化することに成功し、本物質の結晶とらせん磁気秩序のカイラリティ結合を検証するため、偏極中性子回折測定を実施してきた。昨年度、J-PARC物質・生命科学実験施設にある中性子小角・広角散乱装置「大観」で実施した偏極中性子回折測定から、右手系結晶において右巻のカイラルらせん磁気秩序の形成を示す結果が得られた。今回、ドイツのFRM-II「POLI」において、右手系結晶及び左手系結晶を用いて3次元偏極解析実験を実施した。入射中性子のスピン偏極方向の反転に伴う磁気衛星反射強度の変化を観測し、CsCuCl3の右手系結晶構造では右巻きのらせん磁気構造、左手系結晶構造では左巻きのらせん磁気構造を形成していることが判明し、結晶とらせん磁気秩序のカイラリティ結合を実験的に観測することに成功した。
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JPS Conference Proceedings
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