研究課題/領域番号 |
25390146
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
杉原 正顯 青山学院大学, 理工学部, 教授 (80154483)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 関数近似 / 最適近似式 / Sinc関数近似 / ポテンシャル / Hardy空間 |
研究実績の概要 |
複素平面上の実軸に対称な帯状領域を考え,その領域上の,減衰度が指定されたHardy空間---この空間は,減衰度=1重指数関数型減衰の場合,SE-Sinc近似が有効となる関数空間であり,減衰度=2重指数関数型減衰の場合,DE-Sinc近似が有効となる関数空間である----における最適関数近似について,田中健一郎氏(2014年度まで公立はこだて未来大学,2015年度より武蔵野大学),岡山友昭氏(広島市立大学)とともに,つぎの基礎的研究を行った. 基礎となる事実は,杉原(代表者)によって,Math. Comp. 72 (2003), 767-786 において証明されたものであるが,考えているHardy空間における最適近似式の誤差は,近似式の標本点のある関数の最小値を探索すればよいこと,さらに,この最小値を与える標本点が求まれば,最適近似公式を具体的に構成できること,である.
[1] 減衰度=1重指数関数型減衰の場合,Haber-Jangによって不定積分の計算のために導入された近似式に基づいて,鵜島-杉原はこのHardy空間における最適近似公式を与えていた.今回の研究で,この最適近似公式が,先の基礎となる事実から構成される最適近似公式とは異なることが判明した.(現在,両者の数値的観点からの比較を実行中である)
[2] 先の基礎となる事実から,近似式の標本点のある関数の最小値の探索が問題となるが,標本点分布を連続化した分布を考えることによって,最小値探索問題が,近似的にではあるが,ある条件を満たすポテンシャルを求める問題として定式化されることが明らかとなった.後者の問題を数値的に解いた結果によれば,かなりよい標本点が得られることが分かっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,丸め誤差の影響も調べる予定であったが,それを実行できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に書いた関数近似をポテンシャル問題に帰着させた方法はかなり有効と思われるので,この研究を,共同研究者の田中健一郎氏,岡山友昭氏とともに,推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の海外で行われる予定の学会が2つも開催されず,そのため大幅な未使用額を生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
研究費の次年度繰越,または,返還も視野に入れて,適切に使用する予定である.
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