研究課題/領域番号 |
25390152
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 彰洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (50335204)
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研究分担者 |
梅野 健 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10358872)
澤井 秀文 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所, 統括研究員 (70359074)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 航空輸送ネットワーク / リスク / 国土交通省航空輸送統計 / 総務省統計局国勢調査メッシュデータ / 物理的エクスポージャー / ネットワーク多目的最適化 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
リスク、経済性、利便性を考慮した旅客機ネットワークの最適化アルゴリズムの実装と国土交通省航空輸送統計、総務省国勢調査メッシュデータ、アメリカ海洋大気庁の津波カタログデータを用いた国内空港パラメータの抽出を行った。空港属性としてリスク、経済性、利便性の3種類の目的関数を定義し、現実のデータから抽出した空港パラメータを用いて、有効フロンティアを得るためのネットワーク構造の多目的最適化アルゴリズムの実装を行った。日本国内の空港と国内線網に対するデータから、空港パラメータを算出し、多目的最適化アルゴリズムから有効フロンティアを得た。更に、世界的な航空機タイムテーブルデータ(カバー率93%)を購入し、このデータを用いた世界の旅客機航空ネットワークの構造分析を行った。分析により2014年1年間に世界 の空を飛んだ座席総数は約45億座席、1日約1千万座席強が世界の空を飛んでいる計算となることが判明した。この航空機タイムテープデータに含まれる世界の約3,600の空港を対象として、津波リスクの推計を行い、世界で津波リスクが高い上位250空港のリストを得た。平成26年度「京」およびHPCI共用計算資源の利用研究課題「経済社会データおよび環境データを用いた空間評価指標の大規模計算」(課題番号:hp140076)(資源提供機関:統計数理研究所, 17,142ノード時間)と連動することで並列計算機資源を活用し、空港パラメータの抽出と多目的最適化のための計算を行った。更に、京都大学大学院情報学研究科主催EU-Japan Workshop 2015 in Kyoto and Osaka "Exploring complex socio-techno-environmental systems across the boundary"(2015年3月21日~23日開催、京都大学時計台百周年記念館およびグランフロント大阪)に共催し、欧州(イギリス、イタリア、スイス、ドイツ)の研究者との間で国際旅客便の航空輸送に関する国際情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度研究計画では以下3つの目標を掲げていた。(1)世界的な航空機網の調査(2)経済性、リスク、利便性の空港パラメータに基づく航空機網の最適化アルゴリズムの開発(3)多目的最適化アルゴリズムの効率化である。これら3つの目標は本年度中の研究実施により達成することがで きた。 (1)につい ては2014年1年間のカバー率93%の航空機タイムテーブルデータの購入と分析を年度中に行った。(2)については日本国内線についての経済性、リスク、利便性の空港パラメータの抽出と抽出されたパラメータ値を用いた最適化アルゴリズムの実装をおこなった。(3)については重力モデルを仮定したフライト数をコントロールパラメータとした旅客数の推定アルゴリズムを導入してネットワーク多目的最適化問題を最急勾配法を用いて解くアルゴリズムの開発を行った。一部世界規模での航空ネットワークの分析および世界規模でのリスク、経済性の計量について先行して研究を推進し定量的な結果を得るに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として世界規模での航空機ネットワークデータ、NASAが提供する人口推定値のメッシュデータおよびNOAA津波データを用いて全世界規模でのリスク、経済性、利便性の空港パラメータを抽出することと、これらを考慮した多目的最適化アルゴリズムの実装があげられる。更に、航空会社ごとでの世界航空機ネットワークデータの分析、および、航空会社ごとのスケジュール改善方法の開発、ネットワーク構造の改善・最適化ソフトウエアの開発がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は当初計画していた人件費と旅費を抑制する措置を取り代わって世界規模での航空機ネットワークデータを購入し、本研究計画を世界規模での分析と計算ができるように研究計画の修正を行った。そのため、当初予定と比べて若干の次年度使用額が生じている。この次年度使用額は次年度中に執行の予定である。また、分担者情報通信研究機構澤井秀文氏への分担金については、次年度国際会議で発表を行う予定であるため今年度旅費215千円の執行を延期した。物品費については、次年度に85千円を繰越しているが、データ保存用メディアおよび最適化計算を行うためのPCを購入する予定としている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は次年度の旅費に繰り込み本研究の成果発表のために使用する。
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