研究課題
実空間・実時間での時間依存密度汎関数法の能力を最大限に引き出すことが可能となるように、前年度までに行ったプログラムの効率を更に向上させる検討を行った。特に分光学的な観点から計算結果を有効に引き出すための改良を行い、実務遂行上発生する大型計算での課題を洗い出した。また実務からのフィードバックを得て、プログラム開発の修正や改良に繋げることができた。SCF 計算の収束アルゴリズムの堅牢化のため、原子の電荷密度の重ね合わせを行い電荷密度の予測値を初期値に用いることで収束回数を減した。また、他のプログラムとの連携を取るため、上記同様に初期値として他の簡便なプログラムから得られた電荷密度を取り入れる改良を行った。また、計算途中において発生する大容量中間データファイル作成の不具合や、並列計算でのデータサイズが 2GBを超えるファイルの取扱い時に発生していたMPI計算上のトラブルを、データを分割した上でMPI処理を行うことにより解消し、実務への影響を低減した。これらの改良により、大きな解析系での計算が可能な他の簡便なプログラムを用い概要を計算し、詳細な解析が必要な箇所を特定し、我々のプログラムで高精度の計算を行うという連携計算が可能となっている。スペクトル解析における改良も大きく進展した。昨年度までに、時系列データを多数繰り返して利用することで実質的な時系列データを多く得ることにより特に低エネルギー側でのスペクトル情報の収集に非常に有効であるということを発見し、これを使った技術を開発し実務計算に適用していた。しかし人工的な周期により発生する精度上の課題が残っていた。これを解決するために、探索するスペクトル領域に対応した位相を導入する技術を考案した。その結果、発光や吸収に関わる低エネルギー側のスペクトルの探索が正確かつ的確に行えるようになった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
Journal of Computer Chemistry, Japan
巻: 14 ページ: 71-73
10.2477/jccj.2015-0042
巻: 14 ページ: 203-205
10.2477/jccj.2015-0075