研究課題/領域番号 |
25400001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 知行 北海道大学, -, 名誉教授 (30002265)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有限群のゼータ関数 / 圏の普遍ゼータ関数 / 力学系のゼータ関数 / 再構成予想 / 単項バーンサイド環 / 高次元分割表 / 人文学における数理方法 |
研究実績の概要 |
・"The units of a partial Burnside ring relative to the Young subgroups of a symmetric group" の論文(小田文仁・竹ヶ原祐原氏との共著を完成させた.Proceeding of American Mathematical Society 誌に投稿した(2015/04/23日付けで受領の連絡があった). ・"Categories of Elements" RIMS Kokyuroku (2014). エレメントの圏の概念が本研究の一つの鍵になる.(a)圏の普遍ゼータ関数の立場からすれば,エレメントの圏は,圏の微分に相当する.(b)エレメントの圏のグロタンディック環が,単項バーンサイド環にほかならない. ・「鉛同位体法の数理(I)」すでに完成し,間もなく『情報考古学会誌』に投稿する.代数学の意外な応用である. ・「群とグラフの再構成予想」2015/06/23に「代数的組合せ論シンポジウム」(於金沢大学)で発表予定.グラフの再構成予想はほぼ半世紀の間未解決のままの最重要問題である.この問題がグラフのカテゴリーのバーンサイド環と深く関係していることを発見した.同じ問題が代数体に関するzeta identification problem(オリジナルは否定的に解決)として19世紀から研究されてきた.対応する問題が有限群のゼータ関数に関しても考えられる.この種のバーンサイド環や有限群の母関数の理論から生まれた予想である. この問題は,有限単純群に関するThompson 予想(部分的に解決)の拡張である.再構成問題は代数や有限力学系全体に関わる問題となった.Thompson 予想よりは,有限群の再構成予想の方が扱いやすい形をしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 1960年頃米田信夫が導入した「エレメントの圏」が研究の鍵になることが分かった.これについては、3月に近畿大学で行われたセミナーで概要を述べた。 (2) 竹ヶ原祐元(室蘭工業大学)と小田文仁(近畿大学)との研究の連携が順調である. (3) S.Bouc(フランスCNRS)や中岡宏行(鹿児島大学)など内外の有力な研究者がこの分野に参画してきた.このことはこの分野の将来性を示している. (4) 代数統計学への有限群の表現論の応用について,研究を再開した. (5) 鉛同位体法への数理的方法(線形代数,射影幾何,連分数など)の応用については.データの信頼性の問題がほぼ解決し,論文の第一部が完成した.
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今後の研究の推進方策 |
中心的テーマ(力学系,バーンサイド環,普遍ゼータ関数など)については,これまでの方策で進めてゆく.同じ分野の研究者との交流の輪を広げたい. グラフの再構成予想,有限単純群に関するトンプソン予想という全く思いがけない分野との関連が出てきたので,それらについて急いでまとめたい. 代数統計への表現論の応用,および人文科学への代数統計や代数学の応用についてはさらに研究を進める.とくに鉛同位体法への線形代数,射影幾何,連分数などの応用の論文の法官を完成させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
国内旅行(「代数学シンポジウム」於静岡大学)への参加を講演内容の関係から見送ったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
これは次年度国内旅費の一部にあてられる.
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