研究概要 |
有限群の表現論の問題への圏論的な研究方法の一つに、マッキー関手、グリーン関手、丹原関手、バイセット関手を用いるものがある。特にバーンサイド環の構造を調べることは、これらの研究手法のもっとも基礎的な部分を担うものである。有限群Gといくつかの条件をみたすGの部分群の族Xから一般バーンサイド環Ω(G,X)が定まる。Gのバーンサイド環Ω(G)の構造を詳細に調べる際に有益な環である。Ω(G)のユニット群の構造はGの可解性と関連があることから、様々な研究結果がある。特に「Gの位数が奇数なら可解である」といういわゆるファイト-トンプソンの定理と「Ω(G)のユニット群の位数が2である」という命題が同値でることがトム・ディエックにより証明されたことから、ユニット群の重要性は飛躍的に高まった。以上のようにΩ(G)のユニット群の研究結果はいくつかあるが、一般バーンサイド環Ω(G,X)のユニット群は研究されてこなかった。そこで、まず手始めに、Gがn次対称群、XがGのヤング部分群全体としたときの一般バーンサイド環Ω(G,X)のユニット群を決定する問題の解決を試みた。この場合、Ω(G,X)はGの指標環R(G)と環同型であるという先行研究があり、その事実を使うことで計算が容易になることが予想された。実際、R(G)のユニット群に関する一般論はすでに存在しているので、この場合のΩ(G,X)の構造の決定はそれほど困難な問題ではなかった。得られた結果は学術専門誌に投稿中である。 バーンサイド丹原関手の乗法的誘導写像の像の計算に関する結果を研究集会の報告集にまとめて発表した。
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