研究課題/領域番号 |
25400011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
花木 章秀 信州大学, 理学部, 教授 (50262647)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | association scheme / modular representation / coherent confuguration |
研究概要 |
よく知られているように quasi-symmetric design (t=2 の Steiner system) から、type (2,2;3) の coherent configuration が定義される。Coherent configuration は association scheme の自然な一般化であり、その様子は置換群と可移置換群に似ている。Coherent configuration の表現論はまだ未熟であり、特にそのモジュラー表現 (正標数の体上での表現) はほとんど手が付けられていない。そこで通常表現 (複素数体上での表現) に関する Higman の結果を一般化し、coherent configuration のモジュラー既約表現が、その部分構造である association scheme の既約表現を用いて記述されることを示した (2014 年 3 月京都大学数理解析研究所での研究集会で発表済み)。 Quasi-symmetric design については、その incidence matrix の p-ランク (標数 p でのランク) が、ある種の情報を与えることが知られている。これは、そのモジュラー表現の様子を示すパラメーターとなっていることが予想される。これについて、p-ランクは design から得られる coherent configuration のモジュラー標準加群の構造から決定されることを示し、加群の構造がより詳しい情報を与える可能性があることを示した。小さな具体例では p-ランクが標準加群の構造を決定してしまい、詳しい情報が得られることは確認できていないが、大きな design に対して、そのようなことが起きることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的はアソシエーション・スキームの表現、特にモジュラー表現に関する一般論を構築し、それを組合せ論に応用することである。これまでに組合せデザインの p-ランクが、特殊な状況のもとでは coherent configuration の標準加群の構造を通して理解されることを示した。これまでに得られているのは type (2,2;3) の coherent configuration の場合だけであるが、より一般の場合についても同様の議論が可能である。これは表現論の組合せ論への応用の一つと言えるであろう。またこの結果を得るために、一般の coherent configuration のモジュラー既約加群の求め方などに関する一般論もいくらかは得られた。
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今後の研究の推進方策 |
より一般の type をもつ coherent configuration の正標数の体上の隣接代数の構造を調べる。また、その標準加群をを解析し、有限次元代数の表現の手法を用い、その結果を組合せ論的な議論に用いる。同じパラメータをもつデサインから coherent configuration に付随するとは限らない代数を構成し、その標準加群の構造がどのように組合せ論的な性質に反映されるのかを調べる。更にこの手法をタウリガー代数にも適用し、その様子を見る。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画よりも安価で海外出張が完了したこと、また計算機の購入を次年度に繰り越したことにより次年度使用額が生じた。 2014年6月に米国ペンシルバニアで行われる研究集会に参加し、講演を行う。また「代数的組合せ論夏の学校」、「代数的組合せ論シンポジウム」、「環論および表現論シンポジウム」、また京都大学数理解析研究所の研究集会など、国内のいくつかの集会に参加し、そのうちのいくつかでは講演も行う。研究打合せのための国内出張を1回、また研究者の招聘を1回行う。新たな計算機を購入する。前年度残額によって研究のための出張回数を増やし、また当初計画になかった計算機の購入を行う。
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