モジュラー形式と代数的組合せ論との境界部分において、研究を行った。符号の重み多項式は、適当なテータ関数を代入することでモジュラー形式を得ることが知られている。重み多項式はある有限群の不変式となっている事が知られている。またここで現れる有限群は、テータの変換公式から自然に導くことができる。以上の事実からモジュラー形式と代数的組合せ論の有機的な関係が生まれるのである。私の研究は、一方の結果を他方へ応用するという姿勢で行われてきた。アイゼンシュタイン級数は典型的なモジュラー形式であり、様々な研究が行われてきた。上でモジュラー形式と組合せ論の対応について述べたが、組合せ論側にアイゼンシュタイン級数に対応するものが欠けていると思われる。そこで私はE-多項式を提案し、その性質を調べてきた。本村統吾と共同でZ4符号の symmetrized weight enumerator に対応するE-多項式について研究し、それらが生成する次数付き環を決定した。不変式論との関連について、2元体上の自己双対重偶符号の重み多項式を不変とする有限群について、そのテンソル表現の中心化環の構造を小須田雅と決定した。符号とモジュラー形式との関連において、小関道夫と共同で、長さ85の extremal な自己重偶符号から得られる extremal な unimodular 格子の種数が高いテータ関数について研究を行い、種数4ではそれらが異なることを示した。
|