研究課題/領域番号 |
25400016
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田口 雄一郎 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (90231399)
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研究分担者 |
服部 新 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (10451436)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 数論 / ガロア表現 / モジュライ / 代数体 / 函数体 / 保型表現 |
研究実績の概要 |
ガロア表現の合同について小関祥康氏と共同研究を行った(出版済み)。代数体の二つの「幾何的な」l進ガロア表現が mod lで合同なときそれらは局所的には元々同型か、という問題を研究し、適当な条件の下、この種の命題を證明した。これは Rasmussen-Tamagawa 予想に応用がある。この結果はまた、楕円固有保型形式の「例外素数」の上からの評価にも応用があり、実際これまで知られていなかつた評価を一つ与えた。 ガロア表現(や、かなり一般の非可換位相環の有限次元表現)のモジュライ空間を構成した論文は永らく未完成であったが、これが最近一応完成し、投稿した。このモジュライ理論を使って、例えば mod p ガロア表現の個数の母函数として定義されるゼータ函数の解析的性質を記述したり、Fontaine-Mazur の有限性予想と Khare-Moon の有限性予想との間の論理的関係を明らかにしたりした。 Dohoon Choi 氏と共同で、保型表現等から来るガロア表現のヘッケ体が Q 上一つのヘッケ固有値 a_p で生成される様な素数 p の密度について研究し、プレプリントとして纏めた。当該ガロア表現が保型形式から来る場合に限らず、かなり一般の状況で、ガロア像の Zariski 閉包の連結成分の個数に依存した、詳しい記述が与えられている。この結果は特に、Taylor らによって構成された、かなり一般の保型表現に伴うガロア表現に適用され、"保型表現の field of rationality" についての興味深い結果が導かれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ガロア表現の合同」についての共著論文は無事出版された。また、念願だった「ガロア表現のモジュライ」についての基本論文はついに一応完成した。しかし査読を経て出版に漕ぎつけるまでにはまだ暫く時間がかかるであろう。ヘッケ体についての共著論文も、簡潔ながら、かなり一般の場合について十分満足のいく結果が得られている。一方、t-motive の arithmetic については進展が無く、作戦を休止している状態である(これは別に停滞している訳ではなく、その前に、ガロア表現の合同についてさらに取り組むべき問題が生じて来たので、先にそれに取り掛かっているのである)。
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今後の研究の推進方策 |
「ガロア表現の合同」の論文で示した結果は、この論文で与えた応用以外にも興味深い応用がある。まずはこれを詰めて行く。 ヘッケ体についての論文で示した結果は、色々な variants があり得る。特に、保型形式が inner twist を持つ場合に起こる現象をガロア表現の言葉で理解し、これをうまく記述したい。 また、二つのガロア表現の cohomological coprimality について知られている結果を、以前「今井の定理の一般化」で使った手法で、より一般の基礎体に一般化していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通り使用したが、ほんの少し控え目に使用したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は5664円なので、ほぼ当初の使用計画通りに執行する。
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