• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

アラケロフ幾何学の手法を用いたレギュレーター写像の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25400017
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

竹田 雄一郎  九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (30264584)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードアラケロフ幾何学 / レギュレーター写像 / チャーン指標 / リーマン・ロッホの定理
研究概要

筆者は,アラケロフ幾何学における計量つきベクトル束の算術的チャーン指標の理論を高次化することを目標に研究を行っている.これは,数論的多様体のレギュレーター写像の,アラケロフ幾何学における類似を追究することに相当する.前年度までに筆者は、iterated doubleとよばれる既約でない代数多様体(球面の代数幾何における類似物)上の,計量つきベクトル束に関する算術的チャーン指標の理論を完成させて,それを用いて高次算術的K群から高次算術的チャウ群への写像(以下高次算術的チャーン指標と呼ぶ)を構成することに成功した.
まず本年度は,前年度の研究成果である高次算術的チャーン指標の論文の訂正を行った.本論文は本研究の前提条件をなしており,その主結果を誤りなきものにしておくことは,本研究の遂行にとって必要不可欠である.ただ,この論文の内容は非常に複雑かつ100ページを超える長大なもので,査読者に指摘によりいくつもの誤りやあいまいな点を指摘されたので,それらを訂正することに予想以上の時間を費やした.
次の研究テーマは,算術的リーマン・ロッホの定理の高次化である.そのためには,解析的トーションの理論をコンパクトでない多様体に拡張することは必要であることが,これまでの筆者の研究により明らかになっている.本年度はその拡張を達成するための準備として,解析的トーションに関する文献を調査した.そして,上述のテーマを達成するために必要な解析的トーションに関する条件をみつけることができた.それは,コンパクトでない多様体上の計量つきベクトル束に付随する解析的トーションが,無限遠に沿って高々対数的増大度しかもたない,という条件である.この条件は0次の解析的トーションについては正しいことが,既に知られている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究が予定より遅れた最大の原因は,これまでの研究成果をまとめた論文にいくつかの誤りがあったことである.幸いそれらの誤りを訂正することができたが,その論文自体が論理的に複雑かつ100ページを超える長大なものなので,それらの訂正に多くの時間を費やさざるを得なかった.
また,解析的トーションの理論の拡張に関しては,当初はBurgos教授達の研究成果を用いる予定だったのだが,結果的に彼らの理論を適用しても本研究の遂行に役立つ成果が得られないことがわかった.したがって,解析的トーションの定義に戻って考察する必要が生じたので,研究の方策を変更しなければいけなかった.

今後の研究の推進方策

本研究の成功の鍵を握っているのは、解析的トーションの理論の拡張である。したがって、今後はこの拡張を目指して研究を行う。このことに関して、筆者は2つのアイデアを持っている。ひとつは、解析的トーションの無限遠に沿っての増大度を調べることである。筆者は、それが高々対数的増大度しかもたない,と予想している。もしこの予想が肯定的に解決されれば、本研究の目的である高次算術的リーマン・ロッホの定理の証明につながると、筆者は考えている。
もうひとつは、Burgos教授達の研究成果を利用することである。前述のように、彼らの成果を直接的に適用してもうまくいかないが、それとある別の考察を合わせると本研究に役立つ結果が得られるのではないかと、筆者は考えている。このふたつのアイデアを共に追究することにより、本研究に役立つ形の解析的トーションの理論の拡張を得たいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

ひとつめの理由は、以前から使用していたパソコンに不具合が生じなかったので、研究データ蓄積と論文執筆用のパソコンを購入しなかったことである。もうひとつの理由は、2月に鹿児島大で開催された研究集会に参加を予定していたのだが、学務と重なって参加できなかったことである。
本年度は研究遂行のためのノートパソコンを購入する予定である。また、9月にローマで開催されるアラケロフ幾何学の研究集会に参加して、本研究の目的について参加者と討論して有益な情報を得る予定である。特にバルセロナ大学のBurgos教授とは、ここ数年の筆者の研究成果について定期的に情報交換を行っているので、上述の研究集会の際に本研究の状況について議論をしたいと考えている。可能ならば、そのためにローマでの研究集会の前後に筆者がバルセロナ大学を訪問することも考えている。
ひきつづき、12月に京都大学数理解析研究所で行われる整数論の研究集会や、その他の国内の研究集会に参加して、本研究の研究成果について発表したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Higher arithmetic Chern character

    • 著者名/発表者名
      YuichiroTakeda
    • 学会等名
      Low dimensional topology and number theory
    • 発表場所
      Fukuoka
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi