研究課題/領域番号 |
25400018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
石川 雅雄 琉球大学, 教育学部, 教授 (40243373)
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研究分担者 |
岡田 聡一 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (20224016)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | パフィアン / 行列式 / 平面分割の数え上げ / 代数的組合せ論 / 数え上げ組合せ論 / 母関数 / d-complete posets / Macdonald polynomials |
研究概要 |
2013年度は、Mehta-Wang 型の行列式の拡張とパフィアン版について和歌山大学の田川裕之氏、フランスの Jiang Zeng 氏、中華人民共和国の Victor Guo 氏と共同研究を行った。また、2013 年 7 月 24~28 日にパリのパリ第7大学で開催された形式的冪級数と代数的組合せ論に関する第25回国際会議に参加し、それについての研究発表を行った。結果は A Quadratic formula for basic hypergeometric series related to Askey-Wilson polynomials という論文にまとめられ、Proceedings of the AMS に掲載予定である。その他にも名古屋大学の岡田聡一氏によって提唱された d-complete posets の (q,t)-hook formula の予想について Birds の場合と Banners の場合について、very well-poised な 12W11 に関する Gasper の公式を使って証明できることを示した。この結果は (q; t)-hook formula for Birds and Banners にまとめられ、現在投稿準備中である、この他にも Lyon 大学の Jing Zeng 氏と Hankel 型のパフィアンの評価について、Selberg 積分や多変数直交多項式の結果を利用した方法を共同研究し、過去の論文に書いた予想の大部分を証明した。特に、Al-Salam-Carlitz 多項式のモーメントを成分にするパフィアンを考えると、Baker-Forrester の結果を使って、非常に美しいパフィアンの公式を証明できる。これについては、予想以外の公式も証明できることがわかった。しかし、まだ証明できない予想があり、それは Gessel-Xin が考察した Hankel 行列式のパフィアン版である。このパフィアンも、以前の論文に書いた以上に多くの予想が作れることがわかり、そのパフィアンの値はきれいな積になるが、評価の方法は未だにわからない。それは associated Jacobi polynomials との関係があると、思われるからである。また、これらのパフィアンの数え上げ問題や数理物理への応用がないか研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、Hankel 型のパフィアンや hyperpfaffian の計算へのセルバーグ型の積分や多変数型直交多項式の結果の応用の研究をしていて、また、その Ensemble average の計算への応用を考察している。しかし、associated Jacobi polynomials との関係で現在研究している Gessel-Xin 型の行列式のパフィアン版の予想は、積分核等は計算できるがパフィアンは計算できない。その他にも 2014 年度にアメリカ合衆国シカゴで開催される第26回形式的冪級数と代数的組合せ論に関する国際会議に応募したところレフェリーの1人から beta ensemble との関連で重要なコメントをもらった。そのために hyperpfaffian との関係や ensemble average への応用などの研究を進めていく予定である。また、別の問題ではあるが岡田氏の提唱した d-complete posets の (q,t)-hook formula の予想について Macdonald 多項式の Pieri 係数を使った書き換えを現在行っている。この式は右辺の積公式をどう解釈するかで展開する Macdonald 多項式の形が異なり、Macdonald 多項式が基底であることを使って、係数を比べることにより、有限和の証明すべき式をえる。問題は、この和が多重和であり、(q,t) に関する(有限な)多重和の公式を証明することになる。この証明すべき和公式を得るまでが、たいへんな計算で、現在、時間があるときを利用して、計算を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
Mehta-Wang 型のパフィアンは Wilson の定義した biorthogonal polynomials と密接な関係があり, そのモーメントの行列式の小行列式について新たな公式を研究してきた。また、ルバーグ型の積分や多変数型直交多項式の結果を応用して、hyperpfaffian の計算や beta emsemble への応用も引き続き研究していきたい。他にも、名古屋大学の岡田氏により提唱された d-complete posets に関する (q,t)-hook 公式の予想について、未解決のケースの研究を続けたい。このために計算機の数式処理ソフトウェアを使った計算確認を利用する。また、2014 年度は、アメリカ合衆国シカゴで開催される第26回形式的冪級数と代数的組合せ論に関する国際会議に参加し、ポスターで研究発表を行う。また、その前の週にボストンで開催されるスタンレーの研究集会にも参加する予定である。その後、夏休み期間中に韓国のソウルで開催されるICMの直前にあるサテライトコンファレンス The 19th International Linear Algebra Society Conference にも参加し、研究発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月にフランス共和国リヨン市での Seminaire Lotharingien de Combinatoire という研究集会に出張予定であったが、教室主任と選考委員の仕事のために出張できなかった。 2014 年度に開催される The 26th International Conference on Formal Power Series and Algebraic Combinatorics (FPSAC 2014) への出張か、韓国で ICM のサテライトとして開催される The 19th International Linear Algebra Society Conference (ILAS2014) への参加と研究発表の旅費として使用する.
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