森本和輝(神戸大学)との共同研究によって,SO(2n+1)のSO(2)に関するspecial Bessel periodのnon-vanishingと対応するL函数の特殊値のnon-vanishingの関連性について,テータ対応を用いて調べた.special Bessel periodが消えないならば,L函数の特殊値が消えないことについては,望ましい結果を得ることができた.また,逆方向の主張についても,自然に成立すると考えられる幾つかの予想を仮定すると,満足する結果が得られた.Gan-TakedaによるHowe予想の完全証明,山名によるテータ対応とL函数の特殊値の消滅,非消滅の関係性の完全化,などなど,テータ対応に関する近年の著しい結果を組み合わせることによって,満足する上記の結果が得られた.special Bessel periodの場合には限られるが,奇数直交群に関するBessel periodの1つのファミリーに関する結果であり,それなりに意義の大きい結果ではなかったかと考えている.特に,SO(5)の場合には,Siegel尖点形式に関する結果として定式化することができる.その場合は,古典的なFourier係数に関する主張になる.解析数論的には直ちに応用できる結果であろうと考えられる.数論幾何学的な意味付けのためには,数論幾何サイドの発展を待つ必要があるかもしれないが,近い将来には,そちらの方面にも応用を持つのではないかと期待している.nが3以上の場合については,現在のところは具体的な応用は無いかもしれないが,将来的には期待できるのではないかと考えている.
|