研究課題/領域番号 |
25400023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
中島 幸喜 東京電機大学, 工学部, 教授 (80287440)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 遺伝的分裂固有半安定型多様体 / p進重み系列 / p進重みフィルとレーション付き複体 / クリスタル的手法 / p進モノドロミー予想 / 任意固有多様体 |
研究概要 |
対数的点のファミリーの系列に対する遺伝的分裂単体的な半安定型対数代数多様体の対数コホモロジーに対するp進重み系列をクリスタル的手法で構成した。このp進重み系列を構成するために、本研究で中核をなすp進フィルトレーション付き複体を構成した。 この結果は各系列が定数スキームという、大変特殊な場合にも新しい結果で、A. Mokrane教授(パリ北大学)が対数的de Rham-Witt複体を使って、構成したp進重み系列の拡張になっている。(実際に拡張になっていることの証明には、本研究で構成したp進フィルトレーション付き複体とA. Mokrane教授が構成したp進フィルトレーション付き複体との比較定理を証明することによってなされる。) Mokrane教授は対数的de Rham-Witt複体を使って、p進モノドロミー予想を定式化したが、本研究でもクリスタル的手法を使って、p進モノドロミー予想を定式化でき、Mokrane教授の予想の拡張になっている。(底スキームが対数点のp進形式スキームによるファミリーの場合にも定式化ができた。)半安定型対数代数多様体が等標数完備離散体付値環上の半安定型代数多様体の特異ファイバーになっているときに、この予想を示すことができた。これは、伊藤哲治教授(京都大学)がl進コホモロジーに示したことのp進版である。一般の場合のp進モノドロミー予想については、底スキームが有限体の対数点の場合に示せばよいことを示した。これは、中山能力教授(一橋大学)がl進コホモロジーに示したことのp進版である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的通り、遺伝的分裂単体的な半安定型代数多様体の対数クリスタルコホモロジーに対するp進重み系列をクリスタル的手法で構成した。また、この系列を生み出すp進重みフィルトレーション付き複体を構成した。この構成には普遍割り算積のポアンカレ留数同型とコホモロジー的効果とクリスタル的構造層のクリスタル的ドラーム解消を使う。 完備離散付置環上の切除単体的半安定型固有多様体の一般ファイバーのドラームコホモロジーと特異ファイバーの対数クリスタルコホモロジーに対する辻雄教授(東京大学)の比較定理(兵藤治教授と加藤和也教授(シカゴ大学)の標準同型の切除単体スキーム版)を使って、対数クリスタルコホモロジーのp進重みフィルトレーションをドラームコホモロジーのp進重みフィルとレーションに移すことができる。 したがって、対数クリスタルコホモロジーのp進重みフィルトレーションの構成のおかげで、無限小コモロジーの重みフィルトレーションを構成する準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、混標数体上の固有多様体を単体的スキームを使って、遺伝的分裂単体的な半安定型代数多様体として解消する。 達成度で述べたように、対数クリスタルコホモロジーのp進重みフィルトレーションをドラームコホモロジーのp進重みフィルトレーションに移すことができる。 さらに、Grothendieckによる無限小コモロジーのドラームコホモロジーによる解釈を使って、混標数体上の固有多様体の無限小コモロジーを解消した遺伝的分裂単体的な半安定型代数多様体の一般ファイバーのドラームコホモロジーとして、書き表すことによって、ドラームコホモロジーのp進重みフィルトレーションを無限小コモロジーのp進重みフィルトレーションに移す。このp進重みフィルトレーションが解消した遺伝的分裂単体的な半安定型代数多様体によらず、混標数体上の固有多様体にしかよらないことを示す。また、p進重みフィルとレーションのコントラバリアント関手性などを示す。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額20669円が前年度残った。もう一冊、研究図書を買う予定だったが、その本の書籍代が50000円強だったので、通常の書籍代よりかなり高く、購入できずに、予算20669円が残った。 上記理由で述べた本を本年度の予算で購入する計画にした。
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