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2016 年度 実施状況報告書

数論多様体のp進コホモロジー

研究課題

研究課題/領域番号 25400023
研究機関東京電機大学

研究代表者

中島 幸喜  東京電機大学, 工学部, 教授 (80287440)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワード割ベキ対数拡張化 / p進Steenbrink複体 / p進重み系列 / E2退化 / F無限span / クリスタル的手法
研究実績の概要

平成27年度にはp進重みフィルトレーション付きクリスタルコホモロジーの(p進)収束性を示していた。条件的穴空き対数変換という新概念を定義し、その底変換に関する底変換公式を使い、p進重みフィルトレーション付きクリスタルコホモロジーの(p進)収束性を示していた。
平成28年度には上述の結果から着想を受けた次の二つのことを証明した。(a) まず、Ogus教授の定義した定数対数的構造層の穴空き化という概念を使って、任意の底変換に対し、p進Steenbrink複体の底変換公式を示した。(b) F-isocrystalを拡張した概念のF-isospan(Ogus教授が定義した)に対し、ある条件の下、単体的な半安定型対数代数多様体の底変換に対し、高次コホモロジーの純像がF-isospan性を保つことを示した。系として、単体的な半安定型対数代数多様体の重み付き対数クリスタルコホモロジーの収束性を再証明した。したがって、上記(b)の結果は平成27年度に示して(p進)収束性の結果の拡張になっている。
また、昨年度までは単体的な半安定型対数代数多様体の底変換のp進重み系列のE2退化は底対数スキームFrobenius射の持ち上げを持つ場合のみ、証明できていたが、環構造上の対数構造の相対Frobenius射と対数拡大化という枠組みとを使って、Frobenius射の持ち上げを持たない場合でも、上記E2退化を示すことに成功した。この定理の証明には対数コホモロジーの無限小変形性を使う。この無限小変形性も前年度からの結果を改良し、最も望ましい結果にまで仕上げ立てた。
以上,二つの証明には(割ベキ)対数拡張化という概念を使って,証明されるので、平成27年度までの理論的枠組みを大幅にわかりやすく、しかも使いやすい形に改善した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成27年度までは、底対数スキームを割ベキ対数スキームとして、理論を展開していたが、Ogus教授が定義した対数拡張化の変種である割ベキ対数拡張化という概念を定義し,それを底対数スキームとすることによって、理論を全面的に書き直したので,相対フロベニウスのp進Steenbrink複体の作用を見やすい形で定義できた。この新理論のおかげで、今まで,対数クリスタルコホモロジーの重み系列のE2退化は底対数スキームFrobenius射の持ち上げを持つ場合のみ、証明できていたがその条件を外すことに成功したため。

今後の研究の推進方策

本研究をまとめた論文は昨年度の報告の段階では総ページ数がおよそ260ページであったが、現在総ページ数が350ページにもなっており、推敲だけでもたいへんな労力を払わなければならなくなっている。今年度は本研究課題の最終年度であるので、少なくとも一流雑誌に投稿したく、本研究の重大な若干の発展(例えば、対数クリスタルWeil郡の無限小コホモロジーへの作用など)を除き、新たに研究範囲を大幅に広げることはせず、基本的に推敲だけに専念するつもりである。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度は所属する大学で研究集会を主催したが、平成29年度は所属する大学でより大規模な研究集会を主催する予定であり、会場料や講演者の旅費に研究費を使用したいがために平成28年度の研究費を残した。

次年度使用額の使用計画

上述のように、平成29年度は所属する大学で研究集会を主催し、会場料や講演者の旅費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Infinitesimal deformation invariance of log crystalline cohomologies with weight filtrations of SNCL schemes2016

    • 著者名/発表者名
      中島幸喜
    • 学会等名
      p進コホモロジーと数論幾何学
    • 発表場所
      東京電機大学
    • 年月日
      2016-07-28 – 2016-07-28
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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