研究実績の概要 |
標数が2でない任意の無限体上の奇数次の split 直交群の多重旗多様体について、有限型(軌道が有限個)になるための必要十分条件を与えた。特に、4個以上の旗多様体の直積については無限型である。3個の旗多様体の直積について、そのうちの一つが full の場合は Littelmann および Stembridge による spherical な2重旗多様体の分類に他ならない。 しかし、本研究によってこの型(I,II型)以外に興味深い例が多く発見された。次のように研究した。まず、次元の小さいいくつかの典型的な無限型多重旗多様体と自明なものの直積を除外する方法によって必要条件を導き、次に、各旗多様体が極小のとき(III型)の有限性を単純成分の直和に分解することによって与えた。(これは Magyar-Weyman-Zelevinsky による方法と同様である。)最後に、最も複雑な IV 型の有限性については III型多重旗多様体の isotropy 群を具体的に構成することによって解決した。特に、 IV 型については群の次元と多重旗多様体の次元が一致する(直交群の埋め込みを与える)特殊な場合が最大15次の直交群まで存在することを示した。 2015年度はこの方法を偶数次直交群の多重旗多様体に適用した。奇数次の場合と同様にして、有限型になるための必要条件は得られたと思われる。十分条件であることも同様の方法で示せると思われるがまだ解決していない。
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