研究実績の概要 |
Appell は、4種類の2変数超幾何級数 F_1,...,F_4 とそれらがみたす微分方程式系 E_1,...,E_4 を定めた。それらの方程式系のうち、E_1,E_2,E_3 は単純な形の連立1階の方程式に変形できるが、E_4 は独立変数の空間を2重被覆に持ち上げた場合でのみ単純な形の方程式系が知られていた。この研究において、2重被覆に持ち上げないと単純な形にできないことの証明し、twisted cohomology groups 間にある交点形式を用いて微分方程式系の具体的な表示を与え、なぜ2重被覆に上げると微分方程式系が単純になるのかを解明した。また、単純な形にできないことの証明は、F_4 のさらなる多変数化である Lauricella により拡張された超幾何級数 F_C がみたす微分方程式系でも適応できることを指摘した。 k次射影空間空間の n+2 枚の超平面配置の空間を独立変数とする超幾何微分方程式系 E(k+1,n+2;α) (α=(α_0,α_1,...,α_n,α_{n+1}) はパラメーター) を解の積分表示に関する twisted cohomology groups 間にある交点形式を用いて表示した。そしてパラメーターを整数ずらす操作に関する変換公式を交点形式を用いて表示した。また、共同研究者により、これらの結果が統計における2元分割表の正規化定数の計算に応用されている。 Lauricella により拡張された超幾何級数 F_D の解の積分表示に関して、twisted homology group が定義され、それをファイバーとする局所系が得られる。この局所系のモノドロミー表現は、パラメーターに関するある種の非整数条件のもとで研究されていた。その条件を大幅に緩和し、表現が可約になる場合でも有効なものを与えた。
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