Tilburg 大学の Edwin van Dam 氏及び中国科学技術大学の Jack Koolen 氏と、距離正則グラフに関する概説論文を執筆した。これは平成23年度に開始したプロジェクトであり、最終的に156ページ及び650以上の引用文献を擁するものとなった。
Erdos-Ko-Rado の定理及びその拡張は、Delsarte による線型計画の手法の優れた応用例であるが、琉球大学の徳重典英氏及び愛知教育大学の須田庄氏と、半正定値計画の双対性に基づいた二つの族の交叉に関する研究を行った。これは Delsarte の手法の「二部グラフ版」であり、他の応用を検討中である。
距離正則グラフの Terwilliger 代数の研究を行った。理論面では、従来各頂点に付随させる Terwilliger 代数を、ある種の良い性質を持つ頂点部分集合に拡張して考察した。この研究は田中利恵氏及び私の学生の渡邊悠太氏と進めており、特に「Terwilliger 多項式」と呼ばれる4次多項式の理論の拡張・一般化を行った。また、外国人特別研究員の Jae-Ho Lee 氏と、双対極グラフに関してさらに拡大した代数を導入し、ダブルアフィンヘッケ環のある種の退化との関連を見出した。応用面では、上海交通大学の坂内英一氏、坂内悦子氏、Yan Zhu 氏と「相対デザイン」を研究し、特定の性質を満たすものについて、存在条件等に関する結果を Terwilliger 代数を用いて証明した。一方、私の学生の John Vincent Morales 氏と、より一般のアソシエーションスキームの Terwilliger 代数の表現論の研究を進め、符号理論で有名な Assmus-Mattson の定理を拡張した。これは特に重要な Z/4Z 上の符号の場合を含む。以上の成果の多くは現時点で論文執筆中の段階であり、順次公開する。
|