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2014 年度 実施状況報告書

正標数の代数多様体と特異点のフロベニウス直像の構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25400035
研究機関東京農工大学

研究代表者

原 伸生  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90298167)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード代数幾何 / 正標数 / フロベニウス直像 / ベクトル束 / 大域的有限F表現型 / 大域的F正則
研究実績の概要

Xを正標数pの代数閉体上で定義された非特異射影多様体とする.このとき非負整数eに対し, Xのフロベニウス射をe回合成した射によるXの構造層の直像(以下, e次フロベニウス直像とよぶ)は局所自由層となるが, そのベクトル束としての大域的構造は, 小平次元などXの構造に大きく依存する.極端な場合として, Xがトーリック多様体のとき上記のe次フロベニウス直像は直線束の直和に分解するのに対し, Xが種数2以上の曲線の場合, すべてのe次フロベニウス直像は直既約であることが知られている.本研究の考察対象は, トーリックの場合を含む大域的F正則な射影多様体Xにおける次の二つの性質である:(直線束への分解) Xの構造層のe次フロベニウス直像は直線束の直和に分解する; (GFFRT性) e次フロベニウス直像の直和因子となる直既約ベクトル束の同型類は(eによらず)高々有限個である. 本年度は, トーリック多様体でない最初の場合として, 射影平面上の一般の位置にある4点を爆発して得られる曲面Xについて, フロベニウス直像の構造を完全に決定し, XのGFFRT性を示した. X上の因子E_i (i=1,2,3,4)を4点爆発の例外曲線, Hを射影平面上の直線の全逆像とするとき, Xのe次フロベニウス直像(e≧0)の直和因子となる既約ベクトル束は以下のいずれかであることを示した.
1. 直線束O=O_X, L_0=O(E_1+E_2+E_3+E_4-2H), L_i=O(E_i-H) (i=1,2,3,4).
2. 非自明な拡大0→O(-H)→G→L_0→0で与えられる階数2の直既約ベクトル束G.
3. 非自明な拡大0→L_1+L_2→B→O(E_3+E_4-H)→0で与えられる階数3の直既約ベクトル束B.
系として, G,L_0,...,L_4,OがXの導来圏の充満強例外列であることがしたがう.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

射影平面の4点爆発上のフロベニウス直像について,前年度は標数2,3の場合にのみ実験的結果が得られていたが,本年度はそれと異なる手法により,すべての正標数pについて一般化できた.

今後の研究の推進方策

射影平面上の爆発する点の個数nがある上限を超えるとGFFRT性が崩れることが予想される.n=5,6,...の場合についてフロベニウス直像の構造の解析を継続し,nの有効な上限を見出し,Xの大域的正則性,導来圏の生成元などとの関係を調べることにより,フロベニウス直像の幾何学的意味を考察する.

次年度使用額が生じた理由

平成26年度までに予定していた研究出張を平成27年度に延期したため

次年度使用額の使用計画

国外出張の旅費として使用する予定

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Structure of the F-blowups of simple elliptic singularities2015

    • 著者名/発表者名
      N. Hara
    • 雑誌名

      J. Math. Sci. Univ. Tokyo

      巻: 22 ページ: 193-218

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Looking out for Frobenius summands on certain rational surfaces2014

    • 著者名/発表者名
      原伸生
    • 学会等名
      正標数セミナー
    • 発表場所
      東大数理
    • 年月日
      2014-11-17
  • [学会発表] Looking out for Frobenius summands on certain rational surfaces2014

    • 著者名/発表者名
      原伸生
    • 学会等名
      研究集会「代数多様体とその周辺」
    • 発表場所
      琉球大学
    • 年月日
      2014-09-29
    • 招待講演

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公開日: 2016-05-27  

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